訪日客好み“和”に移ろい ハム、ピーナツ→抹茶、大福、わさび 秋葉原の名産品店舗
訪日外客数が史上最多の3686万9900人となった2024年、外国人にも人気の高い東京・秋葉原にある日本各地の名産品を販売する「日本百貨店しょくひんかん」で、抹茶商品を中心に和菓子や日本酒などの売れ行きが好調だ。訪日外客が史上最多だった新型コロナ禍前の19年は、ハムなど海外の食文化になじみやすい品が売れ筋だったが、現在は日本の伝統食品が注目を集めている。 【トップ10】「日本百貨店しょくひんかん」で外国人に人気の銘柄 同店は約4000種の加工食品を取りそろえ、24年は過去最多の約2万人の外国人が来店。毎年1月末の「春節」前後は中国や台湾からの客が多く、紅葉の季節には欧米諸国の来客が多い。 今回、1年間(24年)の売上額や販売数量などから人気銘柄トップ10をランキング化した。 1位は「有機認証 宇治抹茶」(製造販売・京都府の中井製茶場、1452円)。有機JAS認証を取得しており、粉末をお湯に溶かして本格的な日本茶を楽しめる他、オーガニックが広がる欧米を中心にスイーツの材料としても人気がある。3位も抹茶(粉末)で、7位は抹茶を材料にした洋菓子(ラングドシャ)だった。 2位の「東京塩豆大福」(販売・東京都のTAKUMI STYLE御菓子司瑞月院、1個290円)は、東京・青ケ島の海塩と北海道産小豆を原料にしている。こうした和菓子の他、チューブ入りワサビ「本わさび瑞葵」(製造販売・静岡県の田丸屋本店、1本292円)が4位。手のひらサイズ(300ミリリットル)のたる酒「桜顔菰樽(純米大吟醸)」も9位で、伝統食の人気ぶりを示した。 国産缶コーラや動物由来の原料を使わないビーガン(完全菜食主義者)向けカップ麺もトップ10入りした。
円安背景に客単価上昇
コロナ禍前はハムやピーナツなどが売れ筋だったが、コロナ禍後に進んだ円安を背景に客単価が1000円上昇。水上理佳店長は「和食が13年に国連教育科学文化機関(ユネスコ)無形文化遺産に登録されて、その魅力が世界中に10年かけて定着してきた」と語る。 15日、同店を訪れた英国在住のロビン・ガードナーさん(58)は「英国にもラーメン店はあるが、おいしくない。日本は本当にうまい」と笑顔。娘のミアさん(23)は「英国でも抹茶をMATCHAと呼び、最近売れている」と話した。 初めて訪日したフランス在住のルイス・ラニョーさん(22)は、秋葉原電気街にアニメグッズを買いに行く前に来店。ユズで作られたゼリーを買い、「日本の食品は健康的なイメージがある。安心してお土産にできる」。
日本農業新聞