新型の「ロボット気管支鏡」、安全で正確な肺がん診断に期待
肺がん治療の分野で、新しい「ロボット気管支鏡」が注目されている。事前にCTスキャンで作成した仮想マップを使用してロボットを誘導することで、医師はリアルタイムで気管支内の状態を見ることができる。肺の一部がつぶれる「無気肺」のリスクも減るため、より安全で正確な肺がん診断に役立つと期待されている。 これは新型の「ロボット気管支鏡」。安全で正確な肺がん診断に役立つかもしれない。 米国立がん研究所によると、同国では毎年12万5000人が肺がんで死亡。早期発見が命を救うことで、医師らの意見は一致している。 ただ、結節のような厄介な兆候が検診で発見された場合、生体検査が必要になることも。 アレクサンダー・ザイダー医師 「このロボットは細いので、従来の気管支鏡では入れない枝までたどりつける。私はこのロボット気管支鏡を未来だと考えている。肺専門医の仕事の1つは、CTスキャンに異常がある患者を助けることだ」 カリフォルニア州の医療会社、サターヘルス社のアレクサンダー・ザイダー医師は、新しいロボット気管支鏡をこれまで3人の患者に使用した。 「小さすぎる結節以外は、肺がん診断のため生検が必要だ。このロボットを使えば肺の大半の結節を検査し、診断率を高めることが可能だ」 事前にCTスキャンで作成した体内の仮想マップを使用し、医師はロボットを誘導。カテーテルが気管支に入り、リアルタイムで肺の様子を見ることができる。生検で使用する針が、無気肺を起こさずどこまで安全に挿入できるか、医師が判断するのにも役立つという。 「このロボット気管支鏡で、 ①X線検査では不可能だった結節まで到達できる ②結節を内側から生検することで、肺の一部がつぶれる「無気肺」のリスクが減る ③疑わしい結節に対しては、診断とステージ(病期)決定を同時に行うことができる」 手の届きにくい結節をロボットが見つけ、生検し、マーキングも可能だ。同医師はこれらが、患者の不安を和らげると期待している。そして、肺がん治療がどのように進歩するかを見据える。 「従来よりも肺の切除を少なくできるよう、腫瘍マーカーの利用が可能だ。将来、放射線や手術が不要になり、内科的治療でよくなるかもしれないし、ならないかもしれない」