音喜多都議ら都民ファ離党会見(全文2)党、自らがブラックボックスだった
東京都の小池百合子知事が特別顧問を努める地域政党「都民ファーストの会」の音喜多(おときた)駿、上田令子両都議が離党の意志を固め、5日午後3時から記者会見した。 音喜多氏らは昨年夏の都知事選の段階から小池氏を支援してきた。 ※一部、判別できない個所がございますことをご了承ください。
音喜多氏が離党を決意した経緯
音喜多:ありがとうございました。それでは私のほうからも、今回の離党に至る理由、経緯についてご説明をさせていただきます。 私が離党を決断した理由は大きく3つございます。1つ目は、都民ファーストの会のガバナンス、とりわけ情報公開の不徹底です。そして2つ目は国政政党・希望の党への抵抗感、そして3つ目が小池都知事の都政に対する姿勢への疑問です。それぞれ、ご説明をさせていただきたいと思います。 1つ目のまず都民ファーストの会の運営方針。とりわけ公約の一丁目一番地である情報公開が極めて不徹底な状態にあることでございます。もちろんそれぞれの職責のある方々、とりわけ都議会議員の皆さまが十分頑張っていらっしゃることは、私はよく存じております。しかしながら数度にわたる代表交代の際に象徴されるように、55人もの都議会議員がいながら、この代表人事は密室でたった3名、数名の役員によって行われ、われわれには一切の理由、その過程が知らされることはありませんでした。これでは、いつ、どこで、誰が、何を決めているのか、さっぱり分からない。ブラックボックスそのものではないのか。われわれが非難をしてきた、まさにそのブラックボックスを、今度は私たち自身がつくり出しているのではないか。そのように率直に感じています。 これは情報公開、そして民主的なプロセスという観点からも極めて重大な問題です。議員によって程度の差はあったようですが、少なくとも言論統制、取材規制、こういったものも行われておりました。私に関して言えば、ほとんどのメディアに出ることは事実上、禁じられ、議員個人の自由な意見を述べることはできませんでした。議員が自分の考えを外部に伝えるのは、民主主義の極めて重要な役割の1つです。これを制限されれば都民、有権者に十分な情報を伝えることはできません。政党としてやってはいけない、致命的な、ガバナンスの欠如ではないかと思います。 こうしたことを許す党規約自体も、代表や一部幹部による独裁とも言えるものが可能となっているもので、早急に改善が必要であると考えています。新人が多く、まだ未熟な組織であるから、制約が必要であるということも一定数、理解はいたします。しかしながら、まだまだこのように、公約にあった情報公開、これが不十分なうちに国政政党の選挙に力を尽くすような状態は、私は順番が逆であると思います。 なお、こうした組織の内情についてはもちろん、中から改善していく私なりの努力を重ねてまいりました。議員総会で事あるごとに異議を唱えるのはもちろんのこと、9月中旬には具体的な改善要望を記載した申し入れ書を、党役員に対して提出をしております。記者の皆さまにはお手元に1部ずつ配布をさせていただいております。 こちらについては新代表となった荒木千陽都議会議員が、なんらかの形で取り計らいたいという意思を見せてくれたことは感謝をしておりますが、しかしながら結果としては本日が期日だったんですが、この期日までに具体的なアクションが取られることはなく、検討や改善が先送りになる中で国政政党との連携、選挙に突き進むことになりました。 また最近の総会では私が異議を発言したあとに、ある役員に呼び出され、全員の前であのような発言は慎むようにと。そういうことは裏で言ってくれと。そのようにいさめられたこともございます。こうしたことから残念ながら、今の都民ファーストの会は組織改革に後ろ向きなのだと判断せざるを得ませんでした。私自身が何よりも大事だと考え、訴えてきた情報公開という公約がはなはだ未達成な状況も、その状態で国政進出へと手を貸すことも、私には容認することはできません。 そして2点目は国政政党・希望の党への抵抗感です。小池百合子知事が代表として発足した希望の党にはまだ詳細な公約も発表されないうちから、右から左まで思想も政策も理念も異なる政治家たちが200名近く集まっておられます。私にはどうしてもこれは選挙目当ての野合のようにしか思えません。仮に私が都民ファーストの会にこのまま残れば姉妹政党として、この希望の党を無条件で応援しなければならなくなる。それは私は政治家としての許容範囲を越えていると、そのように判断をいたしました。 最後の3点目は、以上の2点も含めまして小池知事の政治姿勢に、残念ながら私自身が疑念を持ってしまったことです。国政政党の代表と東京都知事。二足のわらじが悪いというわけでは必ずしもありません。しかしながら今の東京都には豊洲市場の移転問題、オリンピック・パラリンピック、さまざまな課題が山積しています。この状態で国政進出に手を伸ばすことが果たして正しいのでしょうか。そして何より都知事自身が都議選の直後、都民ファーストの会の代表を都知事職に専念するからと言って突然、退任をされました。そういった理由であるからということで私自身も、急な発表ではあったものの自分自身を納得させてここまでやってまいりました。しかしそこから期間を待たずして国政政党を立ち上げて自らその代表に就任される。これはどうしても私は受け止めきることができません。 小池知事の以前の都知事は、3代続けて任期を全うされることなく退任をいたしました。今、都民が何より望むことはそうした都政を立て直し、都政に専念してくださる東京都知事の存在ではないでしょうか。足元の都民ファーストの会ですら今でも情報公開や、あるいはしがらみのない政治、この目標をまだまだ達成できておりません。そうした中で新しく立ち上げる希望の党が、それが達成できるとは私にはどうしても思えません。こうした知事の方向性、政治姿勢に私は強い疑問を持ってしまいました。都知事には都民にお約束をした情報公開をはじめとする政策を、まず都政から、足元の都民ファーストの会から実現していただきたいと、そのように強く願うものであります。 以上が、私が離党を決意した理由になりますが、なぜこの時期だったのかという問い合わせを多くいただいております。率直に申し上げて以前から離党という決断を検討していたことは事実です。特に9月中旬に、またもブラックボックスの中で新たな代表があずかり知らぬところで選出された際、抗議の意を込めて離党することも考えました。しかしながらまだ都議選が終わって間もない、たかが数カ月じゃないかと、そういったご意見もありまして、中から変えていこうと、踏みとどまろうと、そのように考えておりました。