生成AI・大規模言語モデルとは 人材獲得・開発競争は?
~人材獲得・開発競争~
GAFAM(Googleやマイクロソフトなどアメリカの巨大IT企業)にうちからも転職する人がいます。原因はいろいろありますが、一つは待遇がやっぱり良くない。GAFAMに行けば給料数倍という世界が待っているわけですよね。 日本の企業でもAI分野などでは人材確保や流出防止のためにプロジェクトに大きな貢献をしている優秀な研究者に高い処遇をするという流れになっています。今、私の所属する情報通信研究機構でも特定研究員という制度を作って、優秀な研究者に特別な手当を付与するなどの高い処遇をする体制を整えています。 また、研究環境というところでは、我々は、データは大量に持っていますが、計算機が若干足りない。これも改善するとは思うんですけど、何しろ生成AIの学習で使うGPUというタイプの計算機は、世界中で大人気で品薄になっていて、発注してもなかなか手元に来ないという状況が続いてまして、それは一つ大きな問題です。 研究体制に関しては、開発成果をオープンに誰でも使えるようにしつつ開発する流派と、クローズドで、一つの会社の中だけで閉じて開発するという流派とが2つあります。OpenAIはクローズド、一方でMeta社は「Llama」という大規模言語モデルを公開しているんですけど、個人的には開発した大規模言語モデルをオープンにするとフェイクニュースの作成など悪用の可能性が高まるだけだと思っていまして、厳重に管理すべきだと思っています。日本の国内にもクローズドで最先端の研究開発ができるような体制を作るべきだと思っています。 また、今は日本国内の組織がまだ海外勢に何とか追いすがろうとしていますが、人材確保、体制構築も含めて、まさしく今きっちりやらないと、これ以上離されたらもう二度と追いつけない。つまり、日本の組織は未来永劫、競争力のあるAIを全く作れなくなって、海外製のAIを先方の言い値で買い続けなければいけない可能性があります。つまり、一部で言われている「デジタル小作人」におちぶれるしかないと。
~ともに事業を進める総務省担当者は~
総務省担当者「日本の開発力強化は政府としても喫緊の課題として捉えていて、まさに今、先行する海外のプレーヤーに置いていかれると、たぶんもう二度と追いつけない。例えば計算機の環境整備や、鳥澤さんから話があったデータ整備を行うことで、日本のプレーヤーの開発力をどう高めていくかという点に政府としても今、力を入れてやってるというところ。いかに戦っていくかを政府としても考えている」