街中に「ポルシェ」や「ランボルギーニ」…世界中の富豪を射止めたニセコが示す「驚きのデータ」
今や世界中から富裕層がこぞって訪れる冬の高級リゾート地となった北海道ニセコ。どうやってニセコはインバウンドをものにしたのか。海外の富裕層を取り込む外国資本の戦略、日本の観光に足りていないものとは何なのか。ニセコの成功の背景を、リゾート地・富裕層ビジネス・不動産投資の知見をもつ筆者が、これらの謎をひも解く。 【写真】習近平の第一夫人「彭麗媛」(ポン・リーユアン)の美貌とファッション *『なぜニセコだけが世界リゾートになったのか』(高橋克英著)より抜粋してお届けする。 『なぜニセコだけが世界リゾートになったのか』連載第18回 『“外国資本”に「喰い荒らされる」ニセコ…巻き返しを狙う日本勢の「一発逆転」の“秘策”』より続く
データが示すニセコの凄さ
2018年度のニセコエリア(俱知安町+ニセコ町)の外国人宿泊客延べ数は68万2163人と過去最高を記録した。2019年度の外国人宿泊客延べ数は、コロナ禍のため、2020年2月以降にインバウンドが急減したことが響き、55万1693人にとどまっている。それでも10年前の2010年度の同約24万人に比べ、2倍以上に増加している。
日常に溶け込む外国人
2019年度におけるニセコエリアの外国人宿泊客延べ数における主な国別の内訳をみてみると、豪州が10万8291人、中国が10万2720人、香港が7万8771人となっており、以下、シンガポール、米国、タイ、台湾、英国、韓国、マレーシアなどからの宿泊客が占めている。その他、フランス、ドイツ、ニュージーランド、スウェーデン、ロシア、インドネシア、フィリピンなどからの宿泊客も増えてきており、まさに世界中から人々がニセコを訪れていることがわかる。 ニセコでは、ランボルギーニ・ウルスが颯爽と走り去り、ポルシェ・カイエンなど高級車に乗った札幌ナンバーの富裕層や家族連れも多い。定住者や移住者など、豪州や英国などを中心に外国人も思いのほか多い。羊蹄山を眺めながらカフェでお茶をしたり、スキーだけでなく、マウンテンバイクなどのアクティビティを楽しんだりして、みなニセコの日常に溶け込んでいる。 実際のところ、俱知安町の人口1万5351人のうち外国人住民は1071人であり、ニセコ町の人口4958人のうち外国人住民は284人だ(2020年7月末)。両町合わせて1355人がニセコで暮らしている。なお外国人住民は、例年スキーシーズンになるとホテルや飲食店などで働きながらスキーも楽しむ季節労働者が数多く転入し、春先には転出するパターンを繰り返しており、たとえばコロナ禍前の2019年12月末では、両町合わせて3132人と、2020年7月比で3倍近くの外国人が働き暮らしていたことになる。 『「大きなカネの流れの変化に気付いていない…」不動産投資のプロが明かす、ニセコのバブル相場で“勝つ”方法』へ続く
高橋 克英(金融アナリスト)