センバツ高校野球 夢舞台へ、東北から３校（その１） ／福島
２７日に開かれた第９５回記念選抜高校野球大会（毎日新聞社、日本高校野球連盟主催）の選考委員会で、東北から仙台育英（宮城）、東北（同）、能代松陽（秋田）の出場が決まった。仙台育英は２年ぶり１５回目、東北は１２年ぶり２０回目、能代松陽は初。昨夏の甲子園で東北勢悲願の初優勝を果たした仙台育英をはじめ、３校は同じく東北勢初となるセンバツの頂点を目指す。聖光学院は補欠校になった。組み合わせ抽選会は３月１０日。大会は同１８日に阪神甲子園球場（兵庫県西宮市）で開幕する。 ◇能代松陽 念願初切符 「はつらつプレー見せたい」 能代松陽（川村幸生校長）は、昨秋の東北地区大会で優勝した仙台育英と県立校ながら接戦を繰り広げたことなどが評価され、念願の切符を手にした。 午後３時４０分、校内ホールの大画面に映し出されたライブ配信で能代松陽の校名が読み上げられた。緊張の面持ちで画面を注視していた選手らは一気にほおを緩め、「よっし」と歓声を上げ握手しあった。川村校長が「最高にうれしく涙がこみ上げた。東北の代表として、どうか精いっぱい頑張ってきてください」と激励すると、選手らは「ありがとうございます」と応じ、保護者らから拍手を送られた。 大高有生主将（２年）は、発表までの時間を「みんな顔が引きつっていて、自分は緊張で足が震えた」と振り返り、「決まった瞬間は（昨夏に続いて）甲子園にまた立てる、とうれしかった。日本一にふさわしいチームになれるよう頑張りたい」と健闘を誓った。 工藤明監督は「ほっとした。残りの５０日間で再度基本から鍛え、高校生らしい、はつらつとしたプレーを見せたい」と意気込んだ。 能代松陽は２０１７年秋の東北地区大会で準決勝まで進み、翌１８年の第９０回記念大会出場が期待されたが、かなわなかった経緯がある。【猪森万里夏】 ◇特別号外を発行 仙台育英、東北、能代松陽のセンバツ出場決定を受け、毎日新聞は２７日、特別号外を発行した。発行部数は、仙台育英３０００部、東北３０００部、能代松陽２０００部。駅前などで配布したほか、学校などに寄贈した。 ◇聖光学院は補欠校に 主将 夏へ、気持ち切り替え 昨秋の東北大会で４強入りし、２年連続の出場を目指した聖光学院に吉報は届かなかった。桑折町の同校グラウンドで取材に応じた高中一樹主将（２年）は「昨秋（の東北大会準決勝で東北）に負けたときに、選抜出場はつかみ取れなかったと覚悟していた。今はチーム全員が夏しか考えていない」と気持ちを切り替えた。 聖光学院は昨夏の全国高校野球選手権大会で初めてベスト４に進出した。その原動力の一人となった高中主将を中心に、新チームは昨秋の県大会と東北大会で３割６分超の打率を記録。東北大会準々決勝・由利（秋田）戦では、延長十一回でサヨナラ勝ちをするなど、粘り強さも見せた。 今回、補欠校になったことを級友から知らされたという高中主将。気持ちは揺らがなかったといい、「野球の技術以前にチーム力や一人一人の人間的な強さが、この代には足りていない。全員が束になって戦えるチームにならないと日本一という目標には届かない」と気を引き締めていた。冬を越え、頂点に立つふさわしいチームづくりを目指す。【肥沼直寛】 ……………………………………………………………………………………………………… ◇能代松陽 学校プロフィル ２０１３年に能代北（女子校）と能代商が統合して創立した県立高。生徒数５６５人。普通科▽国際コミュニケーション科▽情報ビジネス科がある。校訓は「自主・創造・協働」。グローバルな視点で行動する人材の育成を教育理念に掲げ、海外や県内他校の高校生と交流するなど国際教育を重視している。 野球部は前身の能代商時代を含めて夏の甲子園に４回出場、１１年は３回戦に進出した。卒業生に元広島投手の近藤芳久さんら。 ……………………………………………………………………………………………………… ◇能代松陽 センバツまでの軌跡 ＜秋田県大会＞ ２回戦 ○７―１大曲 ３回戦 ○５―０秋田商 準々決勝 ○８―７横手 準決勝 ○２―１明桜 決勝 ○８―２由利 ＜東北地区大会＞ ２回戦 ○１１―３山形城北（山形） （七回コールド） 準々決勝 ○６―５学法石川（福島） （延長十二回） 準決勝 ●１―２仙台育英（宮城）
