元値1800円を29万円で…『フレンズ』マシュー・ペリーを食い物にした「ケタミン過剰摂取死」の闇
米大ヒットドラマ『フレンズ』のチャンドラー・ビング役で一躍スターになった米俳優マシュー・ペリーさんが昨年10月、ロサンゼルスの自宅プールで溺死した。遺体から大量の麻酔薬「ケタミン」が検出された事件で、医師のサルヴァドール・プラセンシアとマーク・チャヴェス、ペリーさんの家に住んでいた25年来の個人秘書ケネス・イワマサ、麻薬密売人のエリック・フレミング、そして麻薬ディーラーで「ケタミンの女王」ことジャスヴィーン・サンガの5人が8月15日(現地時間)までに起訴された。 米人気ドラマ『フレンズ』マシュー・ペリーさん急死 昨年“13億円”かけアルコール依存症克服も… 死亡当日、個人秘書がペリーさんに3回ケタミンを注射していたとの衝撃的な新事実や、セレブ相手の「ケタミンの女王」の密売ルートの実態が明るみに出て波紋が広がっている。 米連邦検察局は記者会見で、 「ペリー氏は再び薬物依存症に陥り、被告たちはそれを利用して私腹を肥やしていた」 と指摘した。 ペリーさんは人気絶頂のころ鎮痛剤依存やアルコール依存と戦い、何度もリハビリ施設に入っていた。過去には“13億円かけてアルコール依存症に勝利した”と明かしたこともあった。 5人はケタミンの違法な提供の罪などで起訴された。米『Page Six』によれば、医師のプラセンシアは最高20年の禁錮刑、サンガは10年以上の禁錮刑で終身刑の可能性もあるという。 ペリーさんを食い物にしたあげく、死に追いやった大掛かりなケタミン事件が衝撃の展開を見せている。 マシュー・ペリーさんは’23年10月28日、ロサンゼルスの自宅のジャグジーで死亡しているのを発見された。54歳だった。個人秘書イワマサの司法取引合意書から、ペリーさんが死亡した日の詳細が明らかになったという。 イワマサはペリーさんの指示により、死亡した当日の午前8時30分ごろペリーさんにケタミンを1回注射し、午後12時45分に2回目を注射。その約40分後、ペリーさんはイワマサに、「ジャグジーの準備」を頼み、 「大きいのを打ってくれ」 と頼んだという。 イワマサはペリーさんの言うとおりに3回目のケタミンを注射してから、用事を済ませるために家を出た。そして家に戻ってみると、ペリーさんは 「ジャグジーに顔を突っ込み、死亡していた」 という。イワマサはジャグジーに飛び込み、ペリーさんを引き上げ、警察に通報。救急隊員が到着して死亡が確認されたという。 毒物検査の結果、ペリーさんの体内から大量のケタミンが検出された。死因は、溺死、心血管系の過剰刺激、ケタミンによる呼吸抑制といった他の要因も含め、最終的に事故と断定された。 医師のプラセンシア、チャベスとイワマサの3人は、’23年9月から10月にかけて、5万5000ドル(約800万円)で小瓶20本のケタミンをペリーさんに手配。医師たちは約12ドル(約1800円)で買ったケタミンの小瓶をペリーさんに2000ドル(約29万5000円)で売っていたという。 医師からのケタミン入手が高価になるにつれ、ペリーさんはより安く、より早く薬を手に入れようとして、「ケタミンの女王」ジャスヴィーン・サンガや麻薬密売人フレミングから入手するようになったという。 サンガは’23年10月の2週間に小瓶約50本のケタミンをペリーに供給。サンガはフレミングとイワマサと協力してペリーさんにケタミンを売り、約1万1000ドル(約162万3500円)稼いだとされる。 「サンガの顧客のセレブの一人が、アリアナ・グランデの元恋人のラッパー、マック・ミラーで、’18年9月にカリフォルニア州スタジオ・シティの自宅で薬物の過剰摂取により26歳で急死しました。 また、’17年10月に薬物の過剰摂取で死亡したロック・ミュージシャンのトム・ペティのような依存症のスターが使う極秘のドラッグ密売ルートも存在するといわれています。トムは、ヘロインの30倍から50倍も強力な合成オピオイドであるフェンタニルの過剰摂取で死亡したとされています」(女性誌記者) 薬物依存症の恐ろしさを改めて感じさせたペリーさんのケタミン事件は、収入が桁違いのスターを狙う麻薬密売ルートの存在など、日本のエンタメ界にも共通する「麻薬事情」が浮上している。 一方でマイケル・ジャクソンの命を奪った麻酔薬「プロポフォール」や、プリンスの麻薬系鎮痛剤「フェンタニル」の過剰摂取死、ロバート・デ・ニーロの孫レアンドロさんの「フェンタニル」過剰摂取死など、鎮痛薬や手術の麻酔などで使用される医療目的の強力な麻酔剤、鎮痛剤がハードドラッグとして違法に密売されている米国の闇が改めて浮き彫りになった。 日本でも大麻や覚せい剤などよりさらに危険な医療用の麻酔薬・鎮痛薬が麻薬として密売・流通すれば芸能人の逮捕どころか死者が出るのは必至で、改めて対策が必要になりそうだ――。 文:阪本良(ライター、元『東京スポーツ新聞社』文化社会部部長)
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