会計・税務ソフトの巨人インテュイットの次なる成長戦略
四季報オンライン
アメリカ市場に上場している注目銘柄を取り上げる連載企画「はじめての米国株」。今回はアメリカの会計・税務ソフトウェア大手、インテュイット(ティッカー:INTU)を紹介する。アメリカでのシェアは中小企業会計ソフトで8割、個人納税支援ソフトで3割を握ると推定される業界の巨人だが、周辺サービスの強化などでさらなる事業拡大を狙っている。 会社設立は1983年。創業者が会社員だった当時、自らの家計管理の煩わしさを軽減しようとパソコンで行える帳簿管理ソフトの開発を始めたことが起源となった。これがその後、給与計算や勤怠管理などの多様な機能を追加して「QuickBooks(クイックブックス)」に発展。今やアメリカでは中小企業の会計管理業務ソフトとして8割のシェアを握っており、インテュイットの最大の収益源となっている。 2021年にはマーケティング支援ソフト「Mailchimp(メールチンプ)」を買収。顧客企業の売上高を拡大するためのサポートにも乗り出し、中小企業を総合的に支援するサービスの強化を図っている。これらはいずれもインターネット経由のクラウドサービスとして提供されている。 もう1つの収益源は個人向け納税支援ソフトの「TurboTax(ターボタックス)」だ。源泉徴収制度を基本とする日本のサラリーマンには馴染みが薄いかもしれないが、アメリカで所得を得ている者は毎年、個人の責任で期限までに連邦政府や州政府に税務申告書を提出し、所得税を納めなければならない。 専門知識が不要で、プロの会計士に依頼するよりも安価に申告書類を作成できる納税支援ソフトの市場規模は大きく、その中でターボタックスはアメリカ国民の確定申告数の30%前後を担っている。2020年に買収した信用情報提供ソフト「Credit Karma(クレジットカルマ)」と連携することで、今後は納税だけではなく個人の財務管理や金融支援サービスに事業範囲を広げていく方針だ。継続課金型のビジネスとして普及を狙っていく。
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