人気芸人の不要な服が、新商品に生まれ変わる!?【滝沢秀一連載】
ゴミ清掃員としても働く芸人の滝沢秀一(マシンガンズ)が、ゴミを回収していて気が付いた事実、それが「金持ちの家から出るゴミは少ない」ということ。長年にわたりゴミを見続けた滝沢氏だからわかる、ゴミに隠された秘密を教えます! みんなでゴミを少なくして、金持ちになろう! * * * 昨年末に、EUでアパレル業者が売れ残った靴や衣料品を廃棄することを禁止する法案が大筋合意に至った、というニュースがありました。今後はリサイクルを強化していくそうです。 アパレル業者は売れ残った服などをなぜ捨ててしまうのかというと、売れない服でも持っているだけで財産とみなされ、税金がかかるからだそうです。倉庫代もかかるでしょうし、だったら廃棄したほうが安いという判断です。 最近特に、流行の移り変わりが早いように感じます。僕が歳を取ったからかもしれませんが、次から次へと新しいものが流行りますよね。そうなると、流行に敏感な人は次の新しい服が欲しくなるのかもしれません。 何度も言っていますが、僕の洋服はほとんどレンタルです。毎月選んでもらった洋服が送られてきて、1か月着たら返却するというシステムです。 芸人の先輩で、人力舎の田上(たのうえ)よしえさんという方がいます。『オンバト』などのネタ番組にも出ていたので、ご存じの方もいらっしゃると思います。 田上さんはハンドメイドや裁縫が趣味だと聞いていました。普段は布地を買って作っているとのことだったので、せっかくなのでファッションロスとして出された洋服を僕が知り合いから譲り受けるので、それを使って作ってくれないかとお話すると、乗ってくれました。僕と田上さんがコラボしたリメイク商品は、おかげさまで即完売となったのです。 「次は滝沢の服でも作りたい」といお話をいただき、10年ぐらい着ているひじに穴が開いた服や、20年は着ている黄ばんだシャツなんかを持っていきました。舞台用に買ったもので、当時は高かった記憶があります。かなりボロボロですが、流行を気にしなければ20年は使えるということが改めて分かりました。 今後、いろんな芸人からいらなくなった服を提供してもらってリメイクし、それをファンの方が買ってくれるようなシステムができれば、少しでもゴミを減らすことにつながると思うんです。 ロッチのコカドさんやラブレターズの塚本など、裁縫が趣味の芸人もたくさんいます。みんなで協力してこの活動を広げれば、ゴミも減るし面白い流れも生まれそうですよね。 ■いろんなリサイクルがある 不要なCDやDVDをリサイクルする工場があります。1枚ずつCDケースを開いて、歌詞カードの紙、プラスチックケース、CDを分別し、ボールペンなどに生まれ変わらせるそうです。ただ、最近はCD自体の量が減ってきて、工場の方も困っているようで。最近はダウンロードが主流ですから、業者の方は大変でしょう。 また、不要な洋服を圧縮して板にするというリサイクルもあります。僕の知り合いはその板で大きなチェス盤を作って遊んでいるんですが、このリサイクルでつくる「サステナブルボード」は、まだまだ実用性が低いようです。 というのも、様々な色や素材のものからリサイクルしてボードを作ると、マーブル模様になってしまうので用途が限られたり、意外に高価になってしまったりするためです。 やっぱり素材が混ざると使いにくくなりますね。プラスチックでもリサイクルするとマーブル模様になってしまったり、新品よりも高価だったり。 話は急に変わりますが、新宿の歌舞伎町にはぬいぐるみが捨てられていることが多いです。おそらく、ゲームセンターのUFOキャッチャーが多いからなんでしょう。 ある日、19歳ぐらいの若手の清掃員が、捨てられていた新品同然のぬいぐるみを見て「かわいそうだから持って帰ります」と言ったら、先輩の清掃員から「駄目だ、クビになるぞ!」と言われて泣く泣く捨てていました。 彼の気持ちもわかりますが、我々清掃員はゴミとして出されたものを決して自分のものにしてはいけないという厳格なルールがあるんです。 不要に見えても、人によってはそれが宝物に見えることもありますよね。目の前のものを捨てる前に、有効に活用できないかどうか、一度考えを巡らせてみるといいかもしれません。 ※ごみの捨て方のルールは自治体によって異なります。お住まいの地域のルールをご確認ください。 イラスト/北村ヂン