5月の中国新車販売1・5%増 輸出は23・9%増もEU追加関税方針で今後に不透明感
【北京=三塚聖平】中国自動車工業協会が14日発表した5月の新車販売台数は前年同月比1・5%増の241万7000台だった。電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)などからなる「新エネルギー車」が2桁の伸びを続けたことが全体を牽引した。ただ、欧州連合(EU)が中国製EVに追加関税を課す方針を発表するなど、先行きには不透明感も出ている。 新エネルギー車は33・3%増の95万5000台で、新車販売全体の4割弱を占めた。外部電源から充電できるPHVの伸びが目立っている。 中国メーカーが、新エネルギー車で値下げ攻勢に出てシェアを拡大させている。乗用車販売に占める中国ブランドのシェアは63・7%で、前年同月から約10ポイント上昇した。ガソリン車で優位を誇ってきた日系メーカーは苦戦を強いられており、トヨタ自動車、ホンダ、日産自動車の5月の新車販売台数はいずれも前年実績を下回った。 同協会によると、5月の輸出は23・9%増の48万1000台だった。中国メーカーは欧州などへのEV輸出に本腰を入れており、昨年には世界各国の自動車輸出台数で日本を抜いて初めて首位となった。 EU欧州委員会は今月12日、中国製EVについて「不当な補助金を受け取っている」と暫定的に判断したと発表。中国当局との協議が不調に終われば7月以降、中国から輸入されるEVに最大で38・1%の関税を課すと警告した。バイデン米政権も5月に中国製EVなどへの関税を引き上げると発表している。今後、中国の自動車輸出に影響が出る可能性がある。 同協会は「国際貿易の保護主義に関する情勢は依然として厳しい」という見方を示している。