「Z李」逮捕、有名インフルエンサー〝裏の顔〟芸能界や格闘技界も捜査か 「トクリュウ」への関与や薬物逮捕経験者と繋がり
【元文春エース記者 竜太郎が見た!】 芸能界や裏社会、薬物、風俗の情報をスキャンダラスに流すことで人気を博し、Xで91万超のフォロワーを持つ有名インフルエンサー「Z李(ジェット・リー)」。そのアカウントを運営している男らが今月11日、警視庁暴力団対策課に逮捕された。田記(たき)正規容疑者(43)や澤口孝侑容疑者(38)ら5人が、2022年11月に40代男性の住む都内の住居に無断で侵入した疑いだ。 【表でみる】X上の「Z李」アカウントでの主な投稿 田記容疑者は自身のバイクを盗まれ、その犯人を捕まえるまでを旧ツイッターに投稿。特定した犯人に鉄槌(てっつい)を下すという理由で押しかけた様子をライブ配信で実況中継していた。が、当事者は留守で、ドアを開けたのはその娘。1時間以上居座る男たちにおびえ泣きじゃくっていた。 当時「Z李」は、《犯人には小さい子がいた。小学生の女の子。悪いのはあいつであって、子供は全然悪くないのに泣かせてしまった》と投稿している。 しかしなぜ、2年前の事件でいま逮捕されたのか。その背景にあるのは「トクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)」への関与だ。「Z李」は、Xで男の顔のアイコンを使っているが、匿名の個人ではなく複数の人間が情報発信ツールとして使い、特に首謀の田記容疑者は〝ガーシー〟のように大衆を扇動するのがうまく、多くの〝信者〟を獲得。暴露系ながらも保護猫活動やホームレス支援をしていたため、「Z李」を「正義の味方」として神のようにあがめる人も大勢いる。 テレビや週刊誌の記者の中にはネタ元として接触する人もいた。「Z李」の著書「飛鳥クリニックは今日も雨」はベストセラーになり、それを原作とし、森山未來や竹中直人、勝地涼が出演する配信ドラマが制作されていた。それだけのスター扱いなのに正体不明を貫いているのは、「素性を知られたらまずいというのが根底にあるから。田記容疑者は新宿区大久保出身で、もともと特殊詐欺に使われる、足のつかない携帯電話を扱う『道具屋』。当然反社や半グレともつながっていて、『情報屋』としても使える男でした。金回りがいいのは、そうした商売以外にオンラインカジノに関わっているからで、バイク窃盗犯人には懸賞金300万円をかけている。また有名総合格闘技選手へ毎試合500万円、相場の10倍となる破格の金銭を払うことでも有名です。いろんな選手がタニマチである田記容疑者のボディーガードを自ら買って出ています」(事情通) 田記容疑者もいる〝大久保グループ〟には薬物逮捕経験者のラッパーもおり、新宿界隈のアングラで力を持っている。警察の捜査が格闘技界や芸能界を含め、各方面に広がるのは間違いないだろう。
■中村竜太郎(なかむら・りゅうたろう) ジャーナリスト。1964年1月19日生まれ。大学卒業後、会社員を経て、95年から文藝春秋「週刊文春」編集部で勤務。NHKプロデューサーの巨額横領事件やASKAの薬物疑惑など数多くのスクープを飛ばし、「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞」の大賞受賞は3回と歴代最多。2014年末に独立。16年に著書「スクープ! 週刊文春エース記者の取材メモ」(文藝春秋)を出版。現在、「news イット!」(フジテレビ系)の金曜コメンテーターとして出演中。