巨人・大勢が継承するスターの振る舞い 宮崎の夜に見た守護神のスマートな対応
【球界ここだけの話】「親の背を見て子は育つ」。有名なことわざがあるが、社会に出れば、どの世界でも先輩の背中を見て、後輩は学んでいくことが多いだろう。侍ジャパンの守護神に指名されている巨人・大勢(25)も数多く携わってきた一流選手たちの格好いい背中を継承している一人だ。 【写真】侍ジャパン宮崎キャンプ中にファンのサインの求めに応じる大勢 マウンドでは、見ているファンをわくわくさせる圧巻の投球を見せる剛腕のスマートな一面の一端を感じられた日があった。 11月上旬。記者が、侍ジャパンの取材で宮崎県に出張しているときのこと。担当記者同士で、著名人のサインが壁一面にずらりと並ぶ有名なお店でおいしい料理に舌鼓を打っていると、お店の方が席にくるなり、そっと一言告げた。 「大勢さんからお代はいただいております」 偶然、同じ時間帯に戸郷、井上らと食事に来ていた大勢が、記者たちがいることに気づくと自分たちの分と一緒にお会計を済ませていてくれたのだった。翌日、球場で会った際にお礼を伝えると、少しはにかみこう返してきた。 「いえいえ。自分も長野さんとかいろんな先輩たちによくしてもらって、先輩たちを見てきたので」 昨年のWBCではダルビッシュ(パドレス)や大谷(ドジャース)らメジャーで活躍する2人から一流の哲学を吸収。巨人でも、ベテランの長野、坂本、菅野、高梨ら。野球のプレーだけでなく、男としてグランド外でもスマートな対応を見せてきた先輩たちの生き様を見て、学んできた剛腕なりの粋な行動だった。 4年ぶりのリーグ優勝に貢献した巨人の守護神から日本の守護神を担う大勢の振る舞いは、一流の先輩たちを映した鏡のようだった。(樋口航)