「手短に本人確認を」「機嫌が悪いのでよろしく」…”地面師グループ”が用意したツッコミどころの多すぎる《地主のなりすまし役》
すべてが偽造されたもの
会談は昼食後にセッティングされた。地道が当日の記憶の断片をつなぎあわせた。 「たしか食事から戻ってきたと言って事務所に入ってきた呉さんは、いきなりバッグのなかからパスポートを取り出しました。挨拶もそこそこに、同行したわれわれの司法書士の先生に『これだけど』と差し出した。いかにも唐突でした」 そのパスポートをはじめ、用意してきた印鑑証明などはすべて偽造されたものだった。すでにお分かりだろう。ことの次第は、山口が呉の代理人と称し、地道たちから土地代金をかすめ取ろうと企み、ニセの呉如増を仕立て上げた――。つまり山口とニセの呉が地面師の一味である。 ただし、地道たちにとって、それらはあとから判明した事実だった。この面談の際、呉のなりすまし役は、明らかなボロを出していたのだが、それも見過ごしてしまったのである。 『ミスに気づいていたのに…司法書士の言葉が黙殺された結果「総額6億5000万円」を地面師にカモられた不動産業者の末路』へ続く
森 功(ジャーナリスト)
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