<高校野球速報>作新学院が逆転で北海を下して54年ぶりV
第98回全国高校野球選手権の決勝が21日、阪神甲子園球場で6年連続12度目出場の作新学院(栃木)と、2年連続37度目出場の北海(南北海道)の間で争われ、作新学院が7-1で圧勝、1962年以来、54年ぶり2度目の全国制覇を成し遂げた。作新学院は大会屈指の右腕、今井達也が2回に先に失点したが、打線は4回に北海の好投手、大西健斗から3連続タイムリーを奪い5-1と逆転。その後も追加点を重ねた。今井は最速152キロをマークする9奪三振1失点の力投で、9回を投げきって伝説のOB、江川卓がつかめなかった栄冠を手にした。 ドラフト1位候補として評価の高い今井を攻略するために、北海はひとつの作戦を徹底してきた。 7人も左打者を並べ、1番から4番まで全員が、ランナーがいてもいなくても、バントの構えからバッティングを行う“バスター戦法”を取ってきたのだ。揺さぶりと、高めに手を出さない目付け、今井の150キロに迫るストレートに押し負けないためのコンパクトなスイングの意識づけが狙いだった。 二回、早くも北海の今井攻略が実を結ぶ。この回先頭の5番、川村友斗が四球で歩くとバントで送る。7番の下方忠嗣は、ピッチャーゴロに倒れたが、バッティングもいい8番の大西が四球を選び、二死一、二塁。“四球の後の初球を狙え”のセオリーを9番、鈴木大和が守る。またバントの構えから初球のインサイドの曲がらなかったスライダーをコンパクトに叩いたのだ。打球はレフト線へ。先取点。さらに一、二塁とチャンスは続いたが、小野雄哉の三遊間を襲った強烈な打球をショートの山本拳輝が飛びついてキャッチ。すぐさま一塁へ送球する超美技で追加点は防がれた。 1点を追う展開となった作新は、4回に鮮やかな逆転劇を見せた。 先頭打者の大会3本塁打の入江大生が四球を選び、続く藤野佑介が高めのストレートを叩いた打球は、センターのフェンスを直撃。無死二、三塁の逆転機をつかむ。守備から交代で入っていた鈴木萌斗が四球を選び満塁。北海は、大量失点を防ぐため二遊間は中間守備、一三塁はバックホームの守備隊形を取った。 7番の篠崎高志はボールに食らいつきながら、当たりそこねのファーストゴロ。前進してきた川村友斗は、これを捕球することができない。スルーされた打球は、そのまま一塁ベースをかすめるようにファウルゾーンに転がって同点となった。打球は一塁ベースの外で、川村も打球を触っていないように見えたが、エラー、そしてフェアの判定が下された。 北海ベンチは高野連の規則に沿い伝令が「ファウルではないか」と抗議に出たが判定は覆らなかった。