巨人・戸郷翔征が感じる金曜日の「不安」「葛藤」「喜び」 阿部監督の言葉支えにエース道突き進む
巨人の戸郷翔征投手(24)が16日、スポーツ報知の単独インタビューに応じ、相手エース級との投げ合いが続く金曜日の重圧を「やりがい」と表現した。自身初の開幕投手を務めた今季だが、キャンプから状態が上向かず、不安を抱えた中での滑り出しとなっていたことを告白。そんな中、阿部慎之助監督(45)の言葉に支えられ、エースとしてチームを背負う覚悟を語った。チームはこの日、福井から広島へ移動。阪神が中日に勝ったことで、ゲーム差なしの2位となった。(取材・構成=水上 智恵) 【動画】巨人・戸郷翔征、ブルペンで投球練習! いつもと違うシーズンだった。戸郷は手探りの中、24年をスタートさせていた。自身初の開幕投手を白星で飾り、ここまで7試合で3勝1敗、防御率2・01。 「今年は自主トレから全然調子が上がってこなくて、投げ込みもできないままシーズンに入ったので、すごい不安だった。やっと試合勘も戻ってきて、ここから調子もさらに上がってくると思います」 開幕戦勝利後、4試合連続で白星がなく、思い描く投球に近づけない憤りを感じていた。5月3日の阪神戦(東京D)では白星はついたが、5回2/3を3失点で降板。珍しくグラブを乱暴にベンチに置き、感情をむき出しにしていた。 「緊迫したゲームが続いているし、1点でも取られたらいけない。気の締まり方も多少変わってきています。ロースコアになるってことを僕自身分かっているので」 24歳ながら、エースとしてチームを背負う。先発は金曜日で回り、各球団の主戦級と投げ合うから投手戦は必至。重圧を真正面から受け止める。 「相手のエースと戦いながらは苦しいところだけど、そこで勝つことはすごい喜びを感じる。ファンの声や勝利の実感、チームが勝つ喜びは昨年より増している気がする。不安や葛藤もあるけど、やりがいは感じます」 これまでは練習中もリラックスした笑顔が絶えなかったが、今年の練習中の姿には緊張感が漂う。ブルペンでは一球一球入念にデータを確認して、ブルペン捕手やチームメートにも助言を求める姿が目立った。責任が増しているからこそ、気持ちが入った。 「練習でこうした方がいいかな?とか、そういう悩みはもちろん、もともとあるけど、どんどん強くなっています」 そんな中で支えになったのは阿部監督の言葉だった。 「監督は僕を気遣って、よく話しかけてくださる。一番は『100%求めすぎるな』って言葉。100%求めたいけど、いかないところは何球かはある。そういうときに一喜一憂しないように。メンタル的なところだなって。焦ると球に出ちゃうし、そういうときの対処法は去年までは分かっていたはずなんだけど、今年になって僕の中であれ?って思うことも増えて。監督から言われて落ち着けた」 結果を出さないといけないと思えば思うほど、自分を追い込んでいたことに気づいた。右腕を支えるのは阿部監督だけではない。先発陣は菅野、山崎伊がリーグトップの4勝、高橋礼も2勝を挙げ、堀田もチームに勢いをもたらしている。 「すごい楽に感じますし、心強い先輩方。そういう存在がチーム全体に競争を生んでいるし、いい環境をつくり上げていると思う」 手を取り合って形成する強力投手陣で、日本一へと突き進む。 〇…戸郷が先発する17日・広島戦(マツダ)へ向けてG球場でキャッチボールなどで調整。マツダでは今季、昨季とも1登板で、勝てば22年5月以来2年ぶりとなる。4勝目を目指す右腕は同学年の4番・小園を「キーなのかなと思います」と警戒。今季の対戦は6打数4安打で、「いい打者ですし、前回2本(4月19日に3打数2安打)打たれたので。ちょっとやられすぎているので、やり返しができたら」と意気込んだ。
報知新聞社