結成10周年リーガルリリーインタビュー「ゼロから作っていく感じでツアーを回っていきたいので、毎回変化が起きると思います」
――なるほど。去年リリースの「泳いでゆけたら」以降の曲にはリーガルリリーなりの軽快さを感じていて。新しいトーンかなと思ったんですけど、どうでしょう。 海 「泳いでゆけたら」以降、「17」とか「春が嫌い」とかは繰り返し何度も聴ける、いい意味で軽快なものというのは作曲中に意識していた気がします。それまでの大きい波のダイナミクスで1曲を作るっていうよりは小さい波で1曲、でも繰り返し聴けるっていうのは考えました。 たかはし カップリング曲の「ゴーレムの涙」はリーガルリリーの新しい試みというか。私自身さっきも言ったようにゲームが好きなんですけど、ダンジョンに入っていく様をイメージして、ゲーム内で入口に入る時のような音を、曲の冒頭に入れたりしてるんです。その音はエレキギターを使って、ビットクラッシャーっていうエフェクトをかけてゲームっぽい音にしてみたり、打ち込みを入れてみたり。「ゴーレムの涙」っていうタイトルなのでちょっと涙みたいな音を入れてみたり、バンドサウンドではできないような色付けというか、音を使ってもっと情景を広げていくような、そういう新しい試みはしました。 ――「ダンジョン飯」の世界は2曲セットで表現してるんですね。 海 そうですね。「ゴーレムの涙」も「ダンジョン飯」のインスパイアソングなので。 ――大きなメッセージというか、リーガルリリーの曲には毎回喰らうわけですよ。でも最近の曲は割と日常的に聴ける軽快さがあるなと。 たかはし 私はそういう大きい曲って聴く前にちょっと身構えるフシがあって。リーガルリリーってそういう曲が結構多いと自分でも思っているんですけれど、もうちょっとスイッチオンするまで無意識にできるものというか(笑)、「ちょっと聴いてみようかな」ぐらいの曲を自分でも聴きたいなと思って。 ――そして今回、「ダンジョン飯」のコラボレーションの中でもアニメとのコラボムービーがあったじゃないですか? あの映像にはかなり感銘を受けました。 たかはし いいですよね。ありがとうございます。 海 何度見てもグッときちゃうのは間奏のギターソロのところで、マルシルとファリンの学生時代の回想シーンが流れるところですね。コラボムービーが公開されたタイミングもキメラになったファリンと対峙する放送回の直後だったので、「今はこうだけど昔はこういう思い出あったよね」じゃないけど、そういうのってすごく切なくて。もともと「キラキラの灰」もファリンに向けたマルシル視点の曲でもあるので、やっぱりぴったりハマるなって感じましたね。 ――マルシンとファリンっていう女の子ふたりなので余計に。 たかはし ね?(笑)、本当にこのタイミングで。 海 ちょうど(リーガルリリーが)ふたりになったタイミングだったし。 ――そしてYouTubeLiveには期間限定公開ですが「キラキラの灰」と「リッケンバッカー」の映像も上がっていて。直近のライブですが、自己評価としてはいかがですか? たかはし 自己評価ですか? 演奏してる時はあまり分からないんですけど、作品として見ると良いものができたなって思いますね。あとはなにより映像を撮ってくれた川崎さん(川崎龍弥 / ライブビデオ監督、写真家)のライブを伝える力というか、彼の目でその時のライブを撮っているわけだから、彼の目で見える範囲がすべてなんですけれど、彼はどんな世界でどんな目でリーガルリリーを見てるのかっていうのがすごく伝わってくる映像で、ものすごくかっこいいなって思いました。普通にただライブ映像を見たら「ここちょっと反省点だ」とか見つけるんですけど、川崎さんの作品を見ると「携われてよかった」って思います。だから作品として見てほしい。 ――「リッケンバッカー」という初期からの代表曲を今の演奏で改めて見れるっていうのもいいなと思って。 海 そうですね。やっぱり新体制でふたりになったからこそ、より一層自分のプレイとかメンバーのプレイを重視するようになって、だからこそワクワクして一個一個のライブが新鮮にうれしいし、新鮮に悔しいみたいなことが最近すごく積み重なっていて。そういう一回を切り取ったひとつだとは思っているんですけど。だからここが真ん中でもないし上でもないし下でもない、常に変わっていく一部だとは思っているので期間限定で出していて、ツアーではまた違うライブにどんどんなっていくだろうなあっていうワクワクはあります。 たかはし これまでは3人でしっかり決めて、ひとつのリーガルリリーというバンドを作っていたんですけど、やっぱり3人でいると誰かひとりが喋ったらそれに影響されて回答が変わってくるというか、ゲームで言ったら選択肢が3つあるってことじゃないですか。それがふたりになると今までとは別の選択肢が用意される感じがあって。また新しく本当にゼロから作っていく感じで今回のツアーを回っていきたいなと思っています。なので毎回変化が起きると思いますね。