石垣市民会館で絵本「あんぱるぬゆんた」原画展 朗読会や講演会も
絵本「あんぱるぬゆんた」の原画展が12月12日、石垣市民会館展示ホール(石垣市浜崎町)で始まった。主催は「我がーやいまの自然環境を考える会」。(石垣経済新聞) 【写真】「あんぱるぬゆんた」をモチーフにした琉球紅型と作品提供者の長谷川一宏さん 石垣島西部に位置する「名蔵アンパル」は、名蔵湾に面したマングローブ湿地や干潟エリアを指し、2005(平成7)年に「ラムサール湿地条約湿地」に登録された。1976(昭和51)年に初版が刊行され、2022年に沖縄・八重山古謡のCD付きで復刊した同絵本は、アンパルに住むミダガーマ(メダカガニ)の誕生祝いをにぎやかに祝う15種類のカニの様子を描く。絵本を通じ、琉球時代の八重山の農民が重い年貢を課せられながら互いに支え合った「結い(=助け合い)」の精神や、カニを擬人化して祝い事を歌い上げる「ゆんた」(八重山諸島の古謡)など当時の地元民の暮らしを伝える。 復刊に協力した社会福祉法人「つめくさ会」理事長の長谷川一宏さんは、栃木県から同イベントに駆け付け、「あんぱるぬゆんた」をモチーフにした染め物「琉球紅型(りゅうきゅうびんがた)」や関連資料の提供に協力した。長谷川さんは「園長を務めていた保育園に児童劇音楽作曲家の丸山亜季さんが弾き語り演奏で来た際、この絵本と出合った」と振り返る。 「会場に展示している琉球紅型は、紅型職人の真喜屋均さんにお願いして卒園記念として特別に製作してもらったもの」とも。「絵本復刊の際には、楽譜とCDも付けてほしいというわがままを聞いてもらった。子どもたちは、歌いながら絵本を読み合わせたり、沖縄の文化や生き物に親しんだりしていた。カニの図鑑に夢中になる園児もいて、絵本も音楽も残してほしいと思って協力した」と長谷川さん。 初版本は出版社の廃業により絶版となっていた。沖縄タイムス社が刊行した復刻版は2023年の「第43回沖縄タイムス出版文化賞」で児童部門賞に選ばれた。 会場では、絵本未収録の17点を含む原画34点を展示。名蔵アンパルに住む生き物を写真や映像で紹介するコーナー、子どもから大人まで楽しめる塗り絵コーナーも設置する。20冊限定で同絵本(1,760円)の販売も行う。14日は18時30分から、同館中ホールで朗読会や弾き語り、八重山高校郷土芸能部による演舞「あんぱるぬみだがーま」、名蔵アンパルの生態系を守る活動に取り組む「世界自然保護基金(WWF)ジャパン」による講演を行う。 開催時間は9時~18時。入場無料。12月14日まで。
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