4歳で受けた父からの性虐待、被害に気付いたのは40代 「救済を」叫び続ける女性
性被害には、被害にあってからすぐに訴え出るのが難しいという特徴がある。 幼児期から中学生になって初潮が来るまで父親から性虐待を受けた女性(46)は、長年にわたり体調不良や精神的苦痛にさいなまれた。苦しみの原因が性被害にあると認識できたのは40歳を過ぎてからだった。 何年たっても、痛みは消えない。被害者は悪くない。きちんと被害が認められ、救済される世の中になってほしい。女性はそう願い、行動している。【菅野蘭】 【グラフ】性被害にあった場所 一番多いのは…
後に気付いた質問の意味
一番近しい人に心を壊された。始まりは4歳のころ。空さん(仮名)は、一緒に風呂に入っていた父にゴツゴツした指で下半身を触られた。「痛い」と訴えたが、行為はやまなかった。父の上に座らされた。 一緒に入浴しなくなって、嫌な思いをすることはなくなった。でも、それはほんの一時期だけ。小学校の高学年になると、また、あの手が襲ってきた。 2Kのアパート暮らし。親子3人、川の字で寝ていた。隣にいた母は父の行為に気付いていたはずだ。でも、何も言わなかった。母に重度の障害があったことが関係していたのかもしれない。 中学生になったある日、父は「気持ちが悪くなっていないか」と体調を尋ねてきた。それ以来、行為はやんだ。初潮を迎える前だった。妊娠を警戒したのではないか。質問の意味に気付いたのは、ずっと後だ。
「この世から消えたい」
恐怖の体験から、自身を「汚れた存在」と思うようになった。引っ込み思案だった性格もあり、クラスで無視されるなど、いじめの標的にされた。学校の先生は「気のせいじゃないか」と話して取り合ってくれず、何度も「この世から消えたい」と思った。 それでも進学、就職、結婚、出産とライフステージを進める中で、がむしゃらに意識的に「普通の生活」を送った。 成人後、父を避けてきたことで、親族から「なぜ親を大切にしないのか」と責められた。何度か精神科を受診したが、壊れた心の壊れた心の奥に触れられることはなかった。悪夢のような体験を伝えることもできず、「うつ病」と診断されただけだった。