海外移籍1か月で契約解除→5か月の空白「刺激的でした」 日本復帰で見せつけた経験値【インタビュー】
北海道コンサドーレ札幌の大﨑玲央、UAEとデンマークを経てJリーグ復帰
北海道コンサドーレ札幌のDF大﨑玲央が、UAE移籍から始まって3か国を渡り歩いた紆余曲折の1年間を明かした。今年6月に札幌に加入してからは、どん底だったチームの巻き返しに貢献。加入までの経緯やチーム立て直しの真相について聞いた。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・工藤慶大/全3回の1回目) 【実際の動画】超貴重…札幌、連敗後のリアルなロッカールーム映像 ◇ ◇ ◇ ヴィッセル神戸で活躍し、昨季はリーグ優勝も経験した大﨑。昨年12月にUAE1部のエミレーツ・クラブに移籍したことで、怒涛の1年が幕を明けた。「面白そうだったし、新しい刺激を求めに行ったという感じでした」と新たな挑戦に胸を高鳴らせたが、待っていたのは約1か月で言い渡された契約満了だった。 加入したクラブは神戸時代に同僚だったMFアンドレス・イニエスタを筆頭に外国人選手の獲得に積極的。外国人枠の争いは熾烈を極め、カップ戦1試合の出場のみで同じウインドー内で加入して退団する事態となった。さらには給料が支払われない金銭トラブルにも見舞われ、今度は欧州に向かうことになる。 「最終的には払われたし、そういうケースはあるといえばある。それがたまたま自分に降りかかってきたというだけで、自分以外にも同じような経験をしている選手は結構いると思います。ある意味、刺激的でしたけど。でも日本を離れて違う国の文化に触れたり、違う国の人たちと生活したりするのが僕はすごく好き。 英語を喋れるからというのもあると思うんですけど、そういう面ではすごく楽しかったし、違う国のサッカーのスタイルとかそういうのも見られ、経験値としては自分の中でいい経験というか、そういう経験もできて良かったんじゃないかな。まあまあ、契約云々とかそういう話もあったんですけど(笑)」
5か月公式戦出番なしも札幌からオファー「即決」
その後は、デンマークのチームの練習に参加する。しかし「契約するという話でうまくいったんですけど、ギリギリ間に合わなかった。シーズン終盤に入ってしまったので、登録が間に合わず」と失意の帰国。「また別のサッカーに触れて、違った個性の選手と生活して、それもそれで楽しかった」と振り返る。 結局、5月末に日本に帰国し、東京でトレーニングを続けながら次なるオファーを待った。「自分で走ったりする程度で、ボールは蹴っていなかった。5か月くらい公式戦にも出ていなかった」と厳しい状況。そんななか、最下位と苦しんでいた札幌から声がかかり、「即決した感じです」と舞台裏を明かした。 ブランクがあったにもかかわらず、6月29日の新潟戦でデビュー。17試合に出場し、その期間のチーム成績は7勝6敗4分の勝ち点25だった。前半戦の低調が響いて残留には届かなかったものの、自身の加入で「要求したりお互い意見を言い合ったり、そういう回数が増えたのはあると思う」と変化も感じていた。 「もちろん試合に出たら頑張っていない選手なんかいないし、前半戦も結果が出なかったから、じゃあ戦っていなかったかといえばそうではないと思う。みんな考えすぎていた部分もあると思うし、ミシャがやってきたことがベースだけど、試合の中ではいろいろなことが起きて、臨機応変に対応しなければいけない。 どうしてもマンツーマンに捉われすぎていたのはあると思うんですね。自分は自分のマークについていたからいいや、とかではなくて、状況によっては自分のマークを捨てても味方のカバーに行くとか。そういうところがうまくいくようになった、スライドをできるようになったのが大きな要因だと思います」 攻撃面でも「もちろんバックパスでパスをつなぎながらリズムを作るのもそうですけど、それだけでは効果的なプレーはできない。やっぱりリスクをかけていかないと何も打開できない」と語るように、得意の縦パスで何度も攻撃の起点を作った。大﨑の経験値が札幌を変えたと言っても過言ではない半年だった。
FOOTBALL ZONE編集部・工藤慶大 / Keita Kudo