6月に0-7大敗を喫した履正社が興國にリベンジ!! 「今年は弱い」と言われたチームが躍進を遂げ、5年連続決勝進出!!:大阪
[11.4 選手権大阪府予選準決勝 興國高 1-1(PK3-4) 履正社高 ヨドコウ桜スタジアム] 【写真】影山優佳さんが撮影した内田篤人氏が「神々しい」「全員惚れてまう」と絶賛の嵐 第103回全国高校サッカー選手権大阪府予選準決勝が4日に行われ、興國高と履正社高が対戦。両者譲らずPK戦までもつれた一戦は、1-1(PK4-3)で履正社が勝利した。 春先から勝てない試合が続き、プリンスリーグ関西1部の順位は第15節を終えて、降格圏内の8位。暗闇の中を走り続けた履正社に、ようやく光が見えてきた。 準決勝で対戦したのは、6月に0-7というスコアで大敗している興國。守備を固めるため3バックで試合に入ったが、立ち上がりからDF國岡俊哉(3年)らが繰り出した対角へのフィードを止めることができず、興國のサイド攻撃に苦しめられた。前半6分にはスローインを受けたFW安田光翔(2年)が左サイドを抜け出し、ゴール前にクロス。反対サイドからゴール前に入ったFW久松大燿(3年)がダイレクトで合わせたシュートが履正社DFに当たってゴールに吸い込まれ、興國に先制を許した。 失点後の履正社はサイドでの守備負担を減らすため、本来の4バックに変更。DFラインを高く上げてコンパクトな布陣を維持して反撃のチャンスを伺う。今年はプリンスリーグで思うようにボールを動かせない試合が目立ったが、「準々決勝の後半ぐらいからボールが回るようになった」(DF仲井陽琉、3年)自信は大きく、時間の経過とともにテンポよくパスが繋がり始めると25分には中央でのポストプレーから、J2山口内定のMF木村有磨(3年)が左中間をドリブルで前進。切り返しからゴールを狙ったが、DFに阻まれ、得点には至らない。 エンドが変わった後半は、木村に代えてMF小池聡一郎(1年)を投入し、前半はトップ下でプレーしていたMF玉山煌稀(2年)を左サイドにスライド。サイドで積極的にボールを触った玉山を中心に興國を押し込んだ。中央でMF相澤伶実(1年)とMF大重健二朗(2年)のダブルボランチがテンポよくボールを動かした効果も大きい。「昔の田中駿汰みたいに派手ではないけどクオリティーが高いことをきちんとやってくれる。周りが、信頼して動きやすい」と話すのは平野直樹監督で、中央を連携で切り崩す場面も増えた。 興國陣内での時間を増やすと後半23分には相手ビルドアップに大重がプレッシャーをかけてボール奪取。こぼれ球をPA内で拾ったFW兼原然(3年)が倒され、PKを得ると兼原自身が決めて同点に追いついた。38分にも中央をコンビネーションで崩して、玉山がシュートを放つなど以降も履正社がチャンスを作ったが、2点目は奪えず後半を終えた。 延長戦でも履正社の時間は続き、延長前半2分にはMF鳥山陽斗(2年)のスルーパスから兼原がゴール前を抜け出し、シュート。延長後半1分にも相手の跳ね返しを拾った相澤がDF裏に入れ、兼原がゴール前に仕掛けたが、スコアは動かない。迎えたPK戦では履正社の2人目がキックを防がれたが、GK新宮尋大(1年)が4番目、5番目のキックを連続セーブ。1-1(PK4-3)で勝利した履正社が決勝に駒を進めた。 今年の履正社は春先から黒星が続き、「今年は弱い」と言われることが多かった。秋以降もチームの調子は上がらず、初戦の大阪商大堺高戦から敗れる可能性を指摘されてきたが、勝ち上がるにつれてチームがまとまって、良い雰囲気が作れている。なかなか勝てずにきっかけが掴めなかったが、今年の代は「勝てばノリに乗るチーム」と選手は声を揃える。「ここまで来たらもう行くしかないでしょみたいな感じでプレーできている」(仲井)ことが躍進に繋がっている。 気付けば激戦区・大阪で5年連続決勝進出という偉業を成し遂げた。「苦しい」と言われてきた過去の面影はもう見られない。「昨年は決勝で0-4で敗れて、悔しい想いをしているので絶対に勝ちたい。次勝たないと結局今年の代は全国に出られないまま終わったとなってしまうので、勝って苦しい代だったけど全国に行けたという形で終わりたい」。そう話すのは仲井で、勢いのまま頂点まで駆け上がるつもりだ。 (取材・文 森田将義)