大谷翔平はロス五輪で日の丸を背負う?「五輪は特別」発言はメジャー選手不参加の伝統を覆すか…実現に3つの壁
(田中 充:尚美学園大学スポーツマネジメント学部准教授) 2028年ロサンゼルス五輪で、再び日の丸を背負う姿を目にすることができるか――。米大リーグ、ドジャースの大谷翔平選手が今オフ、大リーグ選手会のトニー・クラーク専務理事と面談することが、スポーツニッポンなどで報じられた。野球が追加競技として復活するロス五輪へのメジャーリーガーの出場について協議するという。 【写真】WBCで優勝し喜ぶ大谷選手。五輪とWBC、どう棲み分ける? メジャーは従来、五輪とは距離を置いてきた。現役メジャー選手が五輪に出場したことはなく、五輪開催中もシーズンを中断していない。国際大会としてはワールド・ベースボール・クラシック(WBC)を主催する立場にある。 メジャー選手にとっての最大の栄誉は、個人記録を除けばメジャーのワールドシリーズ勝者に贈られる指輪=チャンピオンリングを獲得することだ。こうしたことからメジャー側は五輪に懐疑的な姿勢を示してきた。だが、大谷選手自身が7月に「五輪は特別」と発言し、トップ選手も相次いで賛同の意を表したことから、風向きが変わりつつある。 ■ 五輪に非協力的だったメジャー 「翔平に連絡を取る。他の選手と同様に翔平の意見も重視している」 スポニチの報道によれば、クラーク専務理事は大谷選手を含む、複数のスター選手と面談して意見を聞きたい考えを示した。 野球の五輪競技は、1984年ロス大会、88年ソウル大会で公開競技として実施され、92年バルセロナ大会から正式競技となった。2000年からはプロ選手の派遣が解禁となり、日本などがトップ選手を代表に送り出した。 一方、メジャーは、選手のけがのリスクや夏季五輪がシーズン日程と重なることなどから、現役選手の五輪出場を認めてこなかった。過去の米国代表はマイナー選手や大学生を中心に構成されてきた。 国際オリンピック委員会(IOC)は、メジャーが非協力的なことに加え、野球が欧州などではそれほど盛んではなく、開催都市が仮設のスタジアムを建設する負担が大きいこともあり、2008年北京五輪を最後に実施競技から外した。 2021年東京五輪は追加種目で復活し、日本代表は金メダルを獲得したが、大谷選手ら現役のメジャー組は参加しなかった。24年パリ五輪は再び実施されず、ロス五輪は2大会ぶりに五輪に復帰する舞台となる。