【内匠宏幸】ベンチの責任は?深刻な打撃不振…岡田彰布の回答
サトテルに打席が回る。チャンスだ。今度こそ、と祈る。だが、目の前ではまた同じ光景が…。ボール球を振り、ストライクを見逃し、最後はボール球に手を出して、ジ・エンド。この繰り返し、もう見飽きた。 【動画】最後の打者佐藤輝明は力なく一塁へ…岡田監督うつむきながら引き揚げ この佐藤輝を含め、得点すらできぬ打線について、監督の岡田彰布はあきれたように言い放った。「対策? そんなんミーティングで言うてる」。相手投手攻略への対策を伝えても、それを実践することができぬ打線への不満がモロに出た。 例えばファーストストライクを狙えとか、ストレートに絞れとか、低めを捨てろとか。まあ、いろいろな具体的な対策が岡田からコーチ、コーチから選手にミーティングで伝わる。あとは試合で出せるかどうか。出なければ、選手に非難が集まる。 これってどうなのか。岡田に問うたことがある。1カ月ほど前だった。得点能力の不足が長期化している。これほど長い低空飛行は珍しい。いくら投高打低の今年のプロ野球でも、ここまでとは。「これってベンチに責任はないのか?」と聞いてみた。 すると岡田はこう口にした。「オレを含めてベンチの責任も大きいよ。コーチもそう。そのためのコーチやからな」的なコメントだった。 担当コーチ、そう打撃コーチだが阪神の場合、1軍は2人コーチ制である。水口コーチは早稲田大の岡田の後輩。オリックス時代からのつながりもあり、昨年から阪神にきた。もうひとりが今岡コーチ。岡田がどうしても呼びたかったコーチだった。 この2人、コーチとして機能しているのかどうか。ここがポイントという声が出ている。岡田はまず選手に直接、指示することはない。間にコーチを介する。それを水口、今岡のコーチ2人が選手に伝える。試合前のミーティングとか、個別に対策を伝え、ゲームに臨むわけだ。 ところが、指示通りにできない…という岡田の発言があった(12日の試合後)。これはなかなかの問題だと思った。コーチの指示が的確だったのか。できぬ選手の責任なのか。いずれにしても、ここまで落ち込む打線だ。コーチの責任に、当然、波及する。岡田が言ったベンチの責任。ここに行き着く。 1年前、阪神の攻撃はつながった。どこからでも得点できる理想的な打線だった。選手が自分の役割を理解し、チームのためになる打撃に終始したことで生まれたもの。それを導いたのは、コーチの働きでもあった。 それが1年後。まったく逆の状態に陥っている。つながりがない。自分本位の打撃が目立ち、打線の「線」の部分は消えている。いまは本当に改善の気配はない。だからこそ、ここはベンチになる。担当コーチがタイムリーな対策を講じること。水口、今岡のコーチ力が問われる。【内匠宏幸】(敬称略)(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「岡田の野球よ」)