三菱重の4━9月期営業益86.7%増、防衛・宇宙など寄与 通期は維持
Maki Shiraki [東京 5日 ロイター] - 三菱重工業が5日発表した2024年4━9月期の連結決算(国際会計基準)は、営業利益が前年同期比86.7%増の1884億円だった。防衛・宇宙やエナジー部門などの増収や利益率改善が寄与した。円安効果も利益を押し上げた。 4━9月期は順調だったが、政局や地政学リスクなどにより先行きが不透明なことなどから、25年3月期通期の連結業績予想は据え置いた。 通期の営業利益予想は3500億円で、IBESがまとめたアナリスト15人の予測平均値3770億円を下回っている。 4━9月期の事業利益は、航空・防衛・宇宙部門が61%増の440億円、原子力などのエナジー部門が約2.5倍の1032億円だった。通期の受注高は、エナジー部門を中心に想定から上振れるため、前回予想から2000億円増となる6兆円に引き上げた。 泉沢清次社長は決算会見で、「下期も引き続き地政学リスクや物価高、為替の変動などで事業環境は不透明だが、ある程度の受注が獲得できており、これを着実に遂行することで24年度の計画達成は可能」と説明。受注は「ガスタービン、原子力、防衛に加え、製鉄機械や航空エンジンなどが好調だ」と述べた。 同社の事業は原子力や防衛費などで政策の影響を受けるが、衆院選の与党議席過半数割れで新政権の枠組みが模索される中、泉沢社長はどのような政権運営になっても「原子力は必要不可欠な電源」であり、防衛も「地政学リスクに備える必要がある」として「いろいろな議論はあると思うが、(関連事業は)大きな影響を受けない」との見方を示した。 5日が投票日の米大統領選挙の結果を受けた影響についても、どちらの候補者が勝っても米国と深く関わる自社の事業に「大きな極端な変化(が起きること)は考えにくい」と述べた。 部品供給先である米航空機大手ボーイングの労働組合による7週間に及ぶストライキが終結したことを受けて泉沢社長は、機体の生産ペースは「徐々に戻ってくるだろう」と期待を示しつつ、「いつどのような形でどのくらいの戻り方をするのかはまだ予断を許さない」とも語った。会見に同席した小沢寿人CFO(最高財務責任者)は、足元で「一定の影響はあるが(固定費など)まだコントロールできる範囲」としている。 *会社発表の決算要旨は以下でご覧ください。