多くの日本人が知らない、じつは「上司になればなるほど無能になる」という組織の大問題
わたしたちはいつまで金銭や時間など限りある「価値」を奪い合うのか。ベストセラー『世界は経営でできている』では、気鋭の経営学者が人生にころがる「経営の失敗」をユーモラスに語ります。 【写真】人生で「成功する人」と「失敗する人」の大きな違い ※本記事は岩尾俊兵『世界は経営でできている』から抜粋・編集したものです。
人は無能になる職階にまで出世する
「働かないおじさん」問題やブルシット・ジョブ(クソどうでもいい仕事)現象が話題になって久しいが、仕事と組織をめぐる問題は尽きない。 なぜ、仕事は、組織は、うまくいかないのだろうか。 〈残念なことに、むしろ無意味な何かを生み出すことを仕事だと思っていたり、恐ろしいことにこれこそが経営だと思っていたりする人もいる。 なぜここまで会社には真の意味での仕事/価値を創り出す「経営」をおこなっている上司がいないのだろうか。その一つの理由は、「人は無能になる職階にまで出世する」という数理的に証明できる法則があるためである。〉(『世界は経営でできている』より) 『世界は経営でできている』では、「次から失敗は巧妙に隠されるようになる。失敗は上司が気付いたときには取り返しがつかないほどに肥大化するようになる」とも語られる。
組織の上層部は無能だらけになるわけ
一体、「人は無能になる職階にまで出世する」とはどういうことだろうか。 〈特定の職階で優秀だったものが次の職階でも優秀である確率は低い。ただし上位階層のポストの数は少ないのでこれ自体はあまり問題でもない。問題なのは、確率論的にいって「特定の職階では優秀だったが次の職階では優秀でない人」が多数いるということだ。 彼らは新しい職階では評価されないため、さらに上位の職階に進まずに適性のない職階にとどまることになる。こうしたことがあらゆる職階で起こると組織の上層部は無能だらけになるわけである。〉(『世界は経営でできている』より) 職階の数が多い組織ほどこうなる。つまり、上司が無能な組織はあちこちに存在するのだ。 『世界は経営でできている』では、「すべての人が大なり小なりこうした無意味な仕事もどきを作りだしている。本当の責任はすべての人にある」とも指摘される。 仕事をどのように「経営」していくのか。すべての働く人が問い続けなければならない。 つづく「老後の人生を「成功する人」と「失敗する人」の意外な違い」では、なぜ定年後の人生で「大きな差」が出てしまうのか、なぜ老後の人生を幸せに過ごすには「経営思考」が必要なのか、深く掘り下げる。
現代新書編集部