勇者の“経験値稼ぎ”を全力サポート! 島づくりで世界を救う『レベル上げにすごくちょうどいい島』先行プレイレポート
KONAMIは6月18日、スマートフォン(iOS/Android)向けブラウザゲーム『レベル上げにすごくちょうどいい島』のサービスを開始した。本作は、島を訪れる勇者一行のために“レベル上げにちょうどいい環境“を構築していく、箱庭型の島づくりシミュレーションゲームだ。 【画像】ついにサービス開始! 『レベル上げにすごくちょうどいい島』のスクリーンショット タイトルに馴染みがある読者も多いかもしれないが、それもそのはず。本作は、個人クリエイターのkagaya氏が「ゲームアツマール(旧名:RPGアツマール)」に投稿した「レベル上げにちょうどいい島」の、正当後継作となっている。 “レベリング向きの島を作って勇者たち(NPC)をお迎えする”というメタな世界観設定や、勇者たちが効率よく経験値が稼げるよう島内にモンスターや施設を配置していくという代えの利かないゲーム性で、多くのファンに愛された(※1)「レベル上げにちょうどいい島」。 ※1……Google検索にて「レベル上げにちょうどいい島」と入力すると、サジェストに「似たゲーム」と出てくることからも、数多くの“難民”が発生していることがうかがえる。 しかし「レベル上げにちょうどいい島」は、2023年6月に「ゲームアツマール」のサービスが終了したことで現在は遊べなくなってしまった。そこで、原作の大ファンでもある本作のプロデューサーの大竹健太氏がkagaya氏にコンタクトを取り、開発がスタートしたという。 PCブラウザ向けゲームだった原作を、より手軽に遊べるスマホブラウザ向けゲームとして忠実に再現。かつ、より奥深い戦略性や、長く遊べるやり込み要素が多数盛り込まれた本作の魅力について、先行プレイにて明らかになったポイントを中心にお届けしよう。 ■魔王城のお隣にある「ゴミ同然の島」を開拓! プレイヤーは勇者となり、世界を支配する魔王との決戦に挑むのだが……あえなく返り討ちに。その後、時空の狭間にたどり着いた元勇者は、天使から「先ほどの世界が滅んだのはあなたに責任がある」、「負けたのはレベル上げが足りなかったせい」などと、あんまりな言葉を投げ掛けられる。 そして連れてこられたのは、更地同然の小さな孤島。じつはこの島は魔王城のすぐ隣に位置しており、魔王との決戦を控える勇者たちが、レベル上げのために立ち寄るにはうってつけの場所だった。 かくしてプレイヤーは島の開拓者(管理者)となり、いずれ訪れる勇者たちが気持ちよく経験値を稼げるように島を育て上げる――というのが物語の大まかなあらすじでありゲームの目的だ。 仮に勇者たちをレベル不足のまま魔王に挑ませてしまった場合、意気揚々と魔王城に突入していった彼らが棺桶と化して退却してくるという、極めてシュールかつ残念な結末が待っている。“レベル上げにすごくちょうどいい島”を提供する者としてのプライドに懸けて、島を拡充し、全力で勇者たちをおもてなしせずにはいられない。 こうした原作由来のユニークな世界観を踏襲しつつ、原作ではナビ役に留まっていた天使に毒のあるキャラクター性を与えたり、島内の施設に配置できる個性豊かな島民たちを新たに用意していたりと、世界観の補強や演出面の強化ぶりが光る本作。 また、全体的にどこか脱力感の漂うゲームデザインに、親しみのあるドット絵表現も非常によくマッチしていた印象だ。 本作のドット絵製作にあたっては、「ドット絵を数多く制作するプロジェクトは直近では少なく、試行錯誤の連続でボツになったデザインも多くある」との裏話も。そうまでしてドット絵にこだわったのは、やはり原作へのリスペクトがあったからこそ。原作に続き、本作でもドット絵表現を採用したことは英断だったと言えるだろう。 ■モンスターや島民、施設の“バフ×バフ”で勇者一行をおもてなし 続いては、基本的なゲームの進行を詳しく紹介していこう。本作は、あえてジャンル分けするならターン制の島づくりシミュレーションともいうべきゲーム性だが、そこにローグライクカードゲーム風の要素が加わっているのがひとつの特徴だ。 プレイヤーは、各ターンごとに「行動P」を消費し、「フロア獲得」「モンスター召喚」「島民採用」などの行動を選択することになる。「フロア獲得」では、「戦闘フロア」「宿屋」「道場」といった島に配置可能な施設を入手する。「モンスター召喚」や「島民採用」で入手したキャラクターは、対応する施設に配置できる。 「行動入手」を選んだ場合は、「モンスター配合」のような強力な行動が出現するようになるが、いずれにせよ各ターンで出現する行動は3種類まで。たとえば、「次のターンに戦力を増やそうと思っていたのに肝心の『モンスター召喚』が出現していない」といったケースもありがちなので、先の展開を考えつつ配られた手札からどれを切るかの判断力が試される。 一方で、入手したフロアや島民、モンスターなどはターン中に回数無制限で配置でき、一度置いたフロアを別の場所と入れ換えるなどの操作も自由自在。都市経営シムによくある資源管理といった概念もほぼないので、シミュレーションゲームが苦手な人であってもとっつきやすいはずだ。 「戦闘フロア」に召喚したモンスターを配置し、倒された際により多くのEXP(経験値)を稼げるようモンスターの強化施設を隣接させ、勇者たちが傷付いた場合に備えて順路になりそうな場所に回復施設の「宿屋」を配置し……などとターンを進めていくと、あるタイミングで勇者一行が島に来訪する。 勇者一行は、10日目、20日目、30日目……と10刻みのターンで島にやってきて、島内を勝手に駆け回ってEXPを稼いでいく。ここで目標値のEXPを稼がせることができれば、晴れて魔王の討伐成功。そうでない場合はゲームオーバーとなる。 魔王を討伐できた場合は、「冒険者増加」「島拡張」「行動P 10回復」から報酬をひとつ選んで獲得し、続く11日目へと進行、目標EXP量も更新される。つまりはワンサイクルが10ターン、時間にして10分前後となっているので、骨太なシミュレーションゲームながらスキマ時間でも手軽にプレイできそうなのはうれしいポイントだ。 一度ゲームオーバーとなっても育てたモンスターのレベルは維持され、次回以降のプレイ時に5体まで選んで連れて行くことが可能。繰り返し挑戦した成果が、より良い島づくりへとつながっていく。 逆にトントン拍子に11日目、21日目……と到達できれば、「島拡張」によって新たなフロアを配置するスペースも生まれるが、手狭に感じていた島もいざ大きくなると「勇者たちが巡回しきれるのか?」といった新たな悩みが生じ、本作の奥深さにうならされることも。 勇者一行が来訪した後のリザルト画面では、各施設の利用回数やそこで獲得したEXP量をチェックすることもできるので、役に立っていない施設があれば配置換えをするなどして次回プレイに活かそう。 各フロアの発動効果や、モンスターの特性・スキルもバラエティに富んでおり、それらの効果をできる限り取りこぼさないよう発動させつつ、相乗効果を狙っていくことが攻略のカギ。 また、島内には配置固定の「環境地形」として“周囲フロアの闇のモンスターのEXPを500%アップ”などの、ひと目で強力だとわかるようなフロアも出現することがある。ゲームに慣れないうちは、「いかに環境地形を有効活用するか?」から考えてみるのがオススメだ。 ■自慢のモンスターたちをプレイヤー間で“現金”取り引き 本作では、島作成中の「モンスター召喚」で新たなモンスターを入手でき、ホーム画面の「研究」を行うことで出現するモンスターのラインアップが増えていく。 入手したモンスターをフロアに配置し、勇者などとの戦闘を繰り返すことでレベルが上昇。任意の2体を「モンスター配合」にて消費すれば、それぞれの能力値が継承された強力なモンスターを1体作成することもできる。 こうして手塩にかけて育てたモンスターたちは、同社が提供するデジタルアイテム取引サービス「リセラ(Resella)」に出品が可能。売買には日本円(購入はクレジットカード決済)を利用し、値付は出品者が自由に設定できることもあって、「もしも超強力なモンスターを生み出せてしまったら、いったいいくらで売れるのだろう?」というロマンを感じずにはいられない。 出品したモンスターは、NFT――つまりは正真正銘の“一点物アイテム”として扱われる。また、出品者のプレイヤー名は「親名」としてモンスターに紐づけられ、取引画面やゲーム内に表示されるといった、親心をくすぐるポイントも。 NFTのリアルマネートレード……と聞くととっつきにくく感じるかもしれないが、他人が種品したモンスターを購入するだけなら「KONAMI ID」の登録とクレジットカードの用意があればオーケー(自身が出品する場合は本人確認と銀行口座の登録も必要)だ。 筆者はテスト端末を用いてのモンスターの取引も体験したのだが、拍子抜けするほど簡単に購入でき、ゲーム内にてスムーズに受け取ることができた。取引の際にはリセラのウェブサイトに遷移する必要があるが、そもそも本作がブラウザゲームであるため行き来にもこれといったストレスは感じなかった。 ■色違いモンスターの出現も!? 大竹Pが語る開発の舞台裏 今回の先行体験会では、本作のプロデューサーを務める大竹健太氏から直々にゲーム内容の解説を頂戴しつつ、質疑応答にも随時応じていただけるというまたとない機会となっていたので、最後にその模様を一部抜粋してお届けしよう。 まずは「レベル上げにちょうどいい島」の後継作として、本作の開発にいたった経緯について。大竹氏が原作の大ファンだったことは冒頭にも触れたとおりだが、原作者のkagaya氏においても、個人制作ゆえに当時は細かい部分まで手が回らなかったなどの心残りがあり、後継作開発の打診には極めて前向きな反応を示してくれたのだそう。 かくして双方が意気投合し、本作の開発がスタートしたわけだが、開発において最も苦労したポイントは「レベルデザイン」だったと大竹氏。 原作には構造上、突き詰めるとどうしても“最適解の攻略”が生まれてしまう弱点があった。そこで本作では、フロア、モンスター、ステージの種類を大幅に増やし、かつシステム面も見直すことで、ワンパターンな攻略が通用しづらいゲーム性へと進化を遂げている。 そんな本作の緻密なレベルデザインや奥深い戦略性は、「数え切れないほどの社内テストプレイの成果」なのだとか。バリバリのゲーマー社員から、果てはふだんあまりゲームを遊ばない社員にもテストプレイを依頼することで、誰もが手軽に遊べてなおかつ飽きのこないゲーム性を突き詰めていったという。 さらに耳寄りな情報として、大竹氏は本作に“色違いモンスター”が存在することにも言及。色違いの出現はもちろん低確率だが、プレイヤー自身が入手していなくともまれにホーム画面に現れ、その姿を確認することができるらしい。 色違いモンスターが、プレイヤー間の取り引きにおいてどれほどの高値がつくのかも気になるところ。入手できた暁には、他プレイヤーに自慢する目的で超強気な値段で出品してみるのも一興かもしれない。 「レベル上げにちょうどいい島」ファンにはもちろん、原作未体験のシミュレーションゲームファンや、スキマ時間にサクッと何度でも遊べるゲームを求めている人、スマホのスペックや容量に不安がありつつもじっくり遊べる骨太ゲーを探している人など、幅広い層にオススメできそうな本作。 個人的には、温かみのある手触り感や、トライアンドエラーが苦にならず楽しめる中毒性に、アナログのボードゲームを遊んでいるときに似た感覚を味わえた気がしたのだが、じつは大竹氏もボードゲーム愛好家だと聞いて合点がいった思いだった。 興味を持った方は、アプリダウンロード不要のブラウザゲームなのでぜひ一度プレイしてみてはいかがだろうか。 ※画像は開発中のものです。
山本雄太郎