【学生長距離Close-upインタビュー】新たなスピードランナー法大・大島史也「みんなで笑って終われたらうれしい」
チームを勢いづける存在として自覚は十分
大学1年時は関東インカレ1500mに出場したものの、その後はケガに悩まされた。2年生になると練習をこなせるようになり、出雲駅伝では2区(区間8位)を経験。11月には10000mで28分53秒14をマークしたものの、上尾ハーフで1時間5分23秒にとどまる。箱根は1区にエントリーされたものの、当日変更で外された。 次こそは、という思いは坪田監督も同じだ。「せっかくあるスピードを生かせる駅伝をしてくれないと、チームとして一つ高いところに上がっていけない」。冬のロードシーズンは精力的にレースをこなし、2月の丸亀ハーフでは1時間3分34秒の自己新を出す。 トラックシーズンに入り、東京六大学対抗こそ14分00秒67で3位とまずまずのスタートを切ったものの、関東インカレ1部5000mは故障の影響もあり34位。7月のホクレンディスタンスチャレンジは回避し、夏の合宿に集中した。 区間賞を目標にした出雲駅伝1区(8.0km)は区間9位。想定外のスローペースで入ったが、3km過ぎに1km2分40秒台に上がる。再び3分を超えるペースに落ち着くも、残り1.5kmでアイビーリーグ選抜のキーラン・トゥンティベイト(ハーバード大)がスパート。「最初のペースアップで脚に重さが出てしまい、2度目のスパートには対応しきれませんでした」と力負けを認める。 ただ、「改善点は見つけられたので、箱根に向けて無駄ではなかったと思います」。11月の部内選考レース、そして本戦をきっちり走る準備はできている。 箱根は1~3区を意識する。「走りたい区間はもちろん1区ですが、武田(和馬)さんが6区に行くならば2区という気持ちを持たないといけません。ただ、3区も自分の走りを生かせる場所だとも思う」。チームを勢いづける存在として自覚は十分だ。 高校時代、「法大に行きたい」という大島の思いを聞き、坪田監督は記録会に足を運んだ。大島は「選手を長い目で見てくれる監督です。すぐ結果を出させようとするのではなく、3年目、4年目で開花させるように指導されていることがやっと分かってきました。 選手一人ひとりを思い、ものすごく熱い」。坂東や、パリ五輪に出場した青木涼真(Honda)のように、大島も将来の競技者像を描ける点で「いい環境でやれているな」と勇気づけられている。 4年生たちとは息抜きに一緒に銭湯やサウナに行くほど仲がいい。 「自分が4年生か、というくらいチームに思い入れがあります。ここまで陸上を続けることができたことも先輩たちの存在が大きい。出雲が総合9位に終わり、すごくしょんぼりした顔しか見ていないので、箱根で総合5位を取って最後みんなで笑って終われたらうれしいです」 箱根総合5位と、4年生たちの笑顔の行方――。それは大島の走りに懸かっている。 ◎おおしま・ふみや/2003年7月19日生まれ、千葉県我孫子市出身。我孫子久寺家中→専大松戸高→法大。自己記録5000m13分35秒33、10000m28分53秒14、ハーフマラソン1時間3分34秒。
荒井寛太/月刊陸上競技