『光る君へ』柄本佑、道長「望月の歌」の真意を解説「物語の中で自然とつながっている」
黛りんたろう氏の演出に「なるほどと」
俳優の柄本佑がこのほど、藤原道長役で出演するNHKの大河ドラマ『光る君へ』(日曜午後8時ほか)の取材会に出席。「望月の歌」を詠んだ道長の思いと撮影について振り返った。 【写真】まさかの変化に「気付かなかった!」の声 『光る君へ』次回相関図 吉高由里子が千年の時を超えるベストセラー『源氏物語』を生み出した主人公・紫式部(まひろ)を演じ、その生涯のソウルメイトとなる道長を柄本が演じている本作。柄本と吉高は10月25日にクランクアップを迎え、約1年半に及んだ撮影が終了した。 17日放送の第44回「望月の夜」では、道長による「この世をば 我が世とぞ思ふ 望月の 欠けたることも 無しと思へば」と和歌が披露された。 この道長が詠んだ「望月の歌」は最高権力者として栄華を誇り、“おごり”の象徴として一般的に理解されてきた。しかし、今作では異なる意味合いなのだと柄本は説明する。 「第44回で道長は周囲から『辞めろ』と言われてどんどん追い詰められていく内容ですから、もし最高権力を手にした心情を歌ったものだとしたら、半泣きでやけくそのように詠んだのではないかと思えますよね。でも今回は、いよいよ追い詰められていく中で最後にこの歌を詠むという流れですから、『今夜は良い夜だ』という意味合いとして、物語の中で自然とつながっている感じです」 第44回の演出は黛りんたろう氏が担当。道長が「どんどん孤独になっていく回」でもあるのだといい、そんな心情を映し出すかのような黛氏による撮影を回想する。 「あれがめっちゃ印象的で。道長が『今度は俺がやめろと言われる番なのか』という場面で、照明がだんだん暗く変わっていくんですよ。黛先生からは、前を向いていて振り返ったらもう秋だった、みたいな意味合いの有名な詩があるらしく、そのイメージなんですと言われまして、『なるほどな』と。ずっと前を向いてやってきた道長だけど、後ろを振り返ったらもう秋空になっていた……だから、ある意味では人生というか、そんなふうなことを感じましたね」 また、「望月の歌」を詠むシーンではまひろに一瞥する場面もあったが「あまり覚えていない」と苦笑しつつも、「銀粉が降ってたというのだけは覚えてるんです。黛先生だなと思いながらいましたね(笑)」と撮影を振り返る。 その上で「道長がまひろを見つめるときは自信に満ちあふれているよりも、『ここから救い出してくれ』って心境のときだというのが僕の発見です」と自らの解釈を明かし、「これは大石先生の意図とはちょっとずれているのかもしれないですけど、まひろとの瞬間はやっぱり常にかつての三郎であるということが今作においてはすごく大事だなと思っています」と語った。
ENCOUNT編集部