悩ましい「高齢者の住宅問題」を解決する〈セーフティネット住宅情報提供システム〉〈住宅ローン型リバースモーゲージ〉とは?【FPが解説】
年齢を重ねると、賃貸派も持ち家派もそれぞれ住宅に関する心配や問題が生じてきます。ここでは、年齢を重ねても安心して暮らせる住まいを確保するお得な制度を紹介します。※本連載は、畠中雅子氏監修のMOOK『得する年金生活』(宝島社)より一部を抜粋・再編集したものです。 年金に頼らず「夫婦で100歳まで生きる」ための貯蓄額
高齢者の賃貸入居を支援「セーフティネット住宅情報提供システム」
賃貸住宅に住んでいる人は、年金生活になると「家賃を払い続けられるだろうか」と不安になる人も多いでしょう。そこであわてて「安い中古住宅でも購入してしまおう」と考える人もいますが、冷静な検討が必要です。住宅購入で老後資金を一気に減らしてしまうのは危険です。 今の家賃が高いのであれば、年金で暮らせる範囲の物件を探し、住み替えたほうが老後破産せずに済むかもしれません。 高齢者夫婦やおひとりさまは、入居できる物件がないと思っているかもしれませんが、心配いりません。国土交通省がバックアップする「セーフティネット住宅情報提供システム」で、高齢者や低所得者でも借りられる住宅が検索できます。 また、連帯保証人がいない人は、入居する住宅の大家さんや管理会社を通して「家賃債務保証制度」の利用を申し込むこともできます。 ◆物件を探す…セーフティネット住宅情報提供システム ●入居をこばまない住宅を紹介してくれる 「連帯保証人がいない」などの理由で、家を借りることが困難な高齢者や低所得者などに、都道府県等に登録された住宅を紹介してくれるシステム。入居後にも見守りサービスや生活相談を行ってもらえる。 ◆保証人がいらない…家賃債務保証制度(高齢者住宅財団) ●月額家賃の35%で2年間保証 一般財団法人高齢者住宅財団の家賃債務保証制度を利用すると、入居時に月額家賃の35%の保証料を支払うと、2年間家賃や原状回復費用が払えないときの保証をしてくれる。
人生を最後まで快適に暮らす…住宅ローン型リバースモーゲージ
老後に住宅コストを安く抑えることは重要ですが、使いにくい設備を我慢して使っていたり、老朽化しているのにリフォームしなかったりするのはおすすめできません。 毎日生活する居住空間が快適でなければ、心身の健康にも悪い影響が出かねません。人生の最終段階こそ、最も快適な場所で過ごしたいと思いませんか? 老後資金を温存しつつ、快適な住宅に住みたいと思ったら「リ・バース60」の利用を検討してみてください。 これは、60歳以上向けの住宅ローンで、購入やリフォームをする自宅などを担保にお金が借りられます。生きている間に返済するのは利息のみ。元金は死後、物件を売却して返済します。ノンリコース型の場合は担保物件の売却代金が残債務に満たなくても、残った債務を相続人が支払う必要がないため、99%がこのタイプを選んでいるそうです。 ◆毎月支払うのは利息のみ…住宅ローン型リバースモーゲージ「リ・バース60」とは? ●ノンリコース型 本人が亡くなっても、相続人が残った債務を返済する必要がないかわり金利が高め。 ●リコース型 本人が亡くなったあと、相続人が残った債務を返済するため金利は低め。 《利用例》新築マンションへの住み替え 新築マンション:販売価格3,000万円(担保評価額3,000万円) 手持ち金:1,500万円 変動金利年3.0%で、担保評価額の50%を上限とした場合 ⇒ 一般的なローンの場合 返済期間:20年 変動金利年:1.0% 元利均等返済 毎月のローン返済額:約6.9万円 ⇒ リ・バース60の場合 融資額1,500万円 × 3.0% ÷ 12カ月 = 37,500円(毎月利息のみ支払う) *住宅金融支援機構「リ・バース60」より \ こんなことに使える! / □ 自宅のリフォーム □ 住み替え用住宅の購入 □ サービス付き高齢者住宅の入居費用 月々少額の支払いで、快適な住まいが手に入るのが魅力。どんな使い道でも、支払いが「利息のみ」になるため、住宅ローンの借り換えに利用する人も。 畠中 雅子 ファイナンシャルプランナー(CFP®)認定者
畠中 雅子