元駅員コンビ「パンタグラフ」、駅員〝あるある〟紹介 20日出版「元駅員芸人パンタグラフが教える 明日学校で話したくなる電車の話」
元駅員という異色のお笑いコンビ「パンタグラフ」が20日、初の著書「元駅員芸人パンタグラフが教える 明日学校で話したくなる電車の話」(イカロス出版、税込み1650円)を発売する。2023年3月のコンビ結成後、駅員経験をフルに生かした念願の初出版だ。本紙の取材に応じたたくあんボーイ(27)は「駅員時代の〝あるある〟などいろいろ盛り込みました」、鈴木メトロ(34)は「駅でのマナーを分かりやすく○×クイズにしたり、読み応えのある本に仕上がった。将来鉄道会社で働きたい子どもたちにも読んでほしい」と熱くアナウンスした。(三橋正明) 経歴も異色だが、パンタグラフは小学生に大人気。「毎月各地で実施している単独ライブの観客の8割は親子連れです。ほかの芸人さんとは全然違う客層」と鈴木。ライブだけでなく、ユーチューブチャンネルも登録者が増え、たくあんボーイは約44万人、鈴木も約40万人を数える。たくあんボーイは「年内にそれぞれ50万人を突破して2人で100万人。信じられないですけど…」と反響ぶりに驚く。 2人が駅員になったのは、実はお笑い芸人を目指すため養成所の費用を捻出するためだった。鈴木は「親から『一度は就職しなさい』と言われ、養成所入所の費用をためるため東京メトロに入りました」と振り返る。たくあんボーイも「高校時代から芸人になりたくて先生にJR東海を紹介してもらいました」と明かした。 コンビ結成はSNSを通じて「『(共通点のある)2人でコラボしてみたら』と誘いがあり、お互いのお笑いに対する熱い思いに共感して結成しました。ちょうどそれまでのコンビを解散したところでした」と鈴木。当時、ピン(1人)芸人をやっていたたくあんボーイと意気投合した。1年ほど前に2人の活動に目をとめた出版社から本の企画が舞い込み、「著書」という夢が実現した。 イラストやクイズなど子ども向けの本だが、鈴木は「JRとメトロの意外な違いなど、鉄道ファンでなくても楽しめるベタからコアな話もある。〝学校で話したくなる〟だけでなく、大人が〝職場で楽しめる〟かも。まずは、子どものクリスマスプレゼントにどうぞ。図書館にも置いてほしい」と猛烈にアピールした。 たくあんボーイの衣装はJR東海のカラー・オレンジをベースに時々カラーリングを変更するこだわりぶり。「JR東海の同期から『いよいよ有名人だね』と言われた。出版をきっかけにお笑いの賞レースでも頑張らなくては」と意気込む。鈴木も「本の話題が相乗効果につながれば」と期待する。 夢の初出版は実現し、次の目標を聞くと、鈴木が「子どもも含め、みんなで楽しめる歌をつくりたい。NHKの『みんなのうた』で流れるような。自分は音楽の経験がないんですけど…」と打ち明けた。たくあんボーイは「僕は和太鼓をやっていたので、面白くできそう。そして大きな会場に子どもたちを集めたイベントを開きたい」と新たな夢を口にした。 23日には東京・秋葉原で出版記念の「サイン本お渡し会」も開催され、年内最後の単独ライブ「2024ラストラン」は12月21日、東京・小劇場アトリエファンファーレ高円寺で行われる。 ◆たくあんボーイ 1997年1月20日生まれ、長野県出身。太田プロダクション所属。長野・駒ケ根工業高校を卒業後、JR東海に入社、20歳まで愛知・豊橋駅で駅員として勤務する。特技はメイク、趣味は和太鼓。芸名は「たくあん作りが上手なボーイッシュな祖母から連想して名付けました」。 ◆鈴木メトロ 1990年10月1日生まれ、北海道旭川市出身。太田プロダクション所属。旭川実業高校野球部で投手で、横浜ベイスターズ(当時)のドラフト候補に挙がったことも。「入団していたら日本シリーズで投げていたかも(笑)」。卒業後、2011年から2年間東京メトロ有楽町線豊洲駅で駅員勤務。趣味は駅名替え歌。
中日スポーツ