【バレー】世界クラブ選手権サンバーズ奮闘記2
世界を驚かせた驚異のディフェンス力
今大会は予選ラウンド初戦で、3位決定戦と同じハルクバンク(トルコ)と、2戦目で南米王者サダ クルゼイロ バレー(ブラジル)と対戦した。フランス代表のイアルバン・ヌガペトや、オランダ代表のニミル・アブデルアジズなど各国の代表選手を擁するハルクバンクには3-0で勝利。ヌガペトとニミルは、2022年のアジアクラブ選手権決勝で対戦したテヘランペイカン(イラン)に当時所属しており、その時はサントリーが敗れていたが、ここでリベンジを果たすことができた。 【写真】クルゼイロ戦で奮闘するサントリーの選手たち 予選第2戦で対戦したクルゼイロにはフルセットの末に敗れたが、勝ち点1を獲得。クルゼイロがハルクバンクに0-3で敗れたため、サントリーは予選ラウンドB組を1位で突破していた。 予選ラウンドでサントリーは全員が高いパフォーマンスを発揮した。大宅真樹の巧みなトスワークで、スパイカー陣は軒並み高い決定率を残した。サーブレシーブを崩されるなど苦しい場面ではやはり、身長218cmのオポジット、ドミトリー・ムセルスキーの存在感が際立った。海外の高いブロックが相手でも、Vリーグの試合と変わらず上からスパイクをたたき込む。幅広いコースに打ちわけたり、ブロックを利用する技術の高さも見せつけ、ヌガペトら世界的なスター選手たちも目を丸くした。 だがサントリーが最も世界を驚かせたのはディフェンス力だった。ブロックディフェンスのシステムがはまり、驚異的な粘りを発揮。とにかくコートにボールが落ちず、相手が粘り負けしてミスを出すシーンが多く見られた。 相手はふだん対戦するVリーグのチームより高さがあるため、割り切ったブロックとディグのシフトを敷いたことで、より役割が明確になった。 加えて、「初の世界クラブということで、選手たちのモチベーション、パフォーマンス、集中力すべてが高かった」と山村宏太監督は言う。 周りの選手が「ディマ(ムセルスキー)もいつもより構えが低かった」と語るように、守備にも本気のムセルスキーが体を投げ出してボールをつなぐなど、泥臭く食らいついた。 クルゼイロ戦で、ミドルブロッカーの佐藤謙次が、身長209cmのブラジル代表ルーカス・サートカンプのクイックをシャットアウトしたシーンは圧巻だった。要所で3本のブロックを決めた佐藤の試合後の言葉が、今大会のサントリーの戦いを象徴していた。 「自分は経験がないので、大会が始まる前までは、正直手がつけられないんじゃないかと思っていました。でも実際に戦ってみると、もちろん自分個人の力ではやっぱり難しいんですけど、1人で戦うわけじゃないので、ディマがいたり、(デ・アルマス)アラインや(藤中)謙也さんがいたり、後ろにはディグがいる。そうした戦術で戦っていけば、世界にも通用する部分があるな、チームで戦えばいけるなと感じています」