<春に挑む・関東一センバツへ>/下 「勝つ楽しさ」求め成長 強豪に勝利、目標は「全国制覇」に /東京
暖かい年明けとなった6日、千葉県白井市にある関東一の野球部グラウンドには、部員たちの大きな声が響いていた。10点差をつけられても諦めず、残り3回で逆転を狙う実践練習では、攻撃側が逆転に成功し「よっしゃー」と喜び合った。「楽しくないと練習、頑張れないので」。臼井健太郎部長が練習の意図を教えてくれた。 【写真で見る歓喜の瞬間】歴代のセンバツ覇者たち 昨年の秋季都大会に優勝し、チームは明治神宮大会に出場した。関東一は過去にこの大会で1勝も挙げたことがなく、米沢貴光監督にとっては5回目の挑戦だった。 初戦は熊本国府(九州・熊本)。秋季都大会では救援に回っていた大後(おおご)武尊(たける)(2年)が好調さを買われて先発し、四回まで無失点に抑えた。五回には代打の堀江泰祈(たいき)(同)が適時三塁打を放ち、その後も追加点を重ねて、米沢監督に初勝利をプレゼントした。 準々決勝は大阪桐蔭(近畿・大阪)が相手。生で見た強豪校の選手たちは「でかくて、ごつかった」(主将の高橋徹平・2年)。それでも、速い球に対応する練習を重ねたことも奏功し、熊谷俊乃介(2年)の本塁打を含む12安打で打ち勝った。先発の畠中鉄心(同)は四回まで無失点に抑え、「自分の投球が通用した」と自信になった一方、救援した坂井遼(はる)(同)は5失点を喫し、「てんぐになっていた鼻が折れた」と反省した。 準決勝で作新学院(関東・栃木)に敗れたが、秋の戦いを通して高橋は「勝つ楽しさに気付けた。次の試合もまた勝ちたいと思えて、練習の質が上がった」。米沢監督も「冬の強化期間中も例年とは違う踏ん張り方をしてくれている。センバツがあるというのは、やっぱり大きい」と選手たちの成長を見守る。 3月18日開幕のセンバツまで約1カ月半。黒板に書かれた目標は「全国制覇」に変わった。関東一のセンバツ最高成績は準優勝。それを超えるため、一丸となって春に挑む。【小林遥】 〔多摩版〕