『虎に翼』伊藤沙莉が試練を乗り越えて栄光を掴む 女性というだけで上がるハードルの存在
不合格でも寅子(伊藤沙莉)の合格を喜ぶ優三(仲野太賀)
女が男に勝つには、桂場が言うように「誰をも凌駕する」圧倒的な成績を残さなくてはならない。気合十分の寅子は、思わぬ事態に見舞われる。予定よりも早く生理が来て、痛みをこらえながら試験を受けることになった。女性というだけで、ただでさえ色眼鏡で見られるのに、心身の不調も相まって何重にも上がるハードル。帰宅するなり自室で泣き出した様子から察するに、不本意な手応えだったことは想像にかたくない。 体調不良でも合格したことは、寅子の実力の証である。けれども、手放しで喜べなかった。轟、久保田、中山も合格したが、そこによねと優三の名前はなかったからだ。仲の良かった女子部の親友は、寅子以外、誰も受からなかった。長い間、挑戦し続けた優三の努力は水泡に帰した。自身の名前がないと知った優三の表情は、無そのものだった。 優三は試験からの撤退を告げる。不合格でも寅子の合格を喜び、筆記試験を通ったのは寅子のおかげと感謝できる優三の人間性を、誰が否定できるだろうか。引きとめる直言(岡部たかし)と、ねぎらうはる(石田ゆり子)の優しさが沁みた。 参照 ※ https://www.nhk.or.jp/tottori/lreport/article/002/40/
石河コウヘイ