福井県越前市で自動運転バス実証実験スタート 市街地の1.2キロ区間、最高時速18キロ
福井県越前市の自動運転バスの実証実験が10月21日、始まった。一般車道で自動運転車両を運行する県内初の事業で、運転操作の一部を手動で行う「レベル2」で実施。市街地の約1・2キロ区間を最高時速18キロで、1周約15分かけて巡回する。バス・タクシーの運転手不足対策としての実現と同時に、「走行速度が遅くても住民に受容される環境づくり」(越前市地域交通課)を探る。 実証実験はフランス製車両「アルマ」を導入し、10月26日まで行われる。乗客定員8人で、発着地点の市役所前とハピラインふくい武生駅、総社大神宮近くの計3カ所に停留所を設けたルートを1日12便走らせる。 設定ルートに従って自動走行し、横断歩道に歩行者がいる場合の停止・再発進、右折時の車線変更、停留所が近づいた際の歩道への幅寄せも自動で行う。 ただ、信号の色は感知できないため、停止線で必ず停止する設定としてあり、青の場合は手動で進む。技術が未確立となっている路上駐車車両の回避、追い越しも手動操作する。 21日は出発式を行った後、国土交通省や経済産業省、交通事業者などの関係者が試乗し、運行のスムーズさを確かめた。一方で、減速せずに接近してくる車両があったり、後続車のドライバーが低速走行に怪訝そうな表情を見せたりする場面もあった。 自動運転の速度性能にはまだ限界があり、今回の車両の仕様も最高時速は25キロ。限定したエリアの巡回運行に向いている半面、実用化に向けては、移動時間や周辺ドライバーの配慮の必要性などを利用者や住民が受け入れる「社会受容性」の醸成が課題となる。 山田賢一市長は人口減や高齢化を踏まえ、「地域交通はさまざまな移動手段の組み合わせが必要。自動運転をその一つとして受け止める社会システムが大事になる」と述べた。 22日から、事前予約の市民らに無料で利用してもらう。空席があれば、その場での乗車も受け入れる。市などは、運行の安全性など技術面の課題を検証するとともに、住民意識を確かめる方法も検討している。 実証実験は同市とNTT西日本福井支店、福井鉄道の共同事業。5年計画で今後、武生駅―北陸新幹線越前たけふ駅を含む市内3区間に増やし、特定条件下でシステムが自動運転する「レベル4」の運行を目指す。
福井新聞社