市川團十郎、初役で挑む大星由良之助「勤勉、まじめ、忠義。報われる忠実な男を作り上げたい」宙乗りも披露
歌舞伎俳優の市川團十郎が21日、都内で来年1月の新橋演舞場公演「双仮名手本三升 裏表忠臣蔵(ならべがきまねてみます うらおもてちゅうしんぐら)」(来年1月3~26日)の取材会に出席した。 外題を「裏表忠臣蔵」として古典歌舞伎の名作「仮名手本忠臣蔵」を「伝統の継承」「新時代の歌舞伎の創造」を目指す團十郎が現代人がより楽しめる形で上演する。「表は『仮名手本忠臣蔵』で、素晴らしいもので変えてはいけないもの。裏はそこに入らなかった外伝。現代の言葉で言うとスピンオフ。それを入れるのが『裏表忠臣蔵』」と説明した。7代目團十郎が天保4年に「裏表忠臣蔵」を上演した記録もあり、今回は令和の團十郎ならではの視点で新たな「忠臣蔵」の世界を描く。 大星由良之助、早野勘平、高師直、斧定九郎の4役を早替わりで演じる。立役屈指の大役である由良之助は初役で「主君(塩冶判官)が不条理なことで腹を切る。その主君の思いをくみ取って、一環して貫く。由良之助は勤勉、まじめ、忠義という日本人を代表するような男。現代は報われない世の中と言われるけど、報われる忠実な男を作り上げたい」と意気込む。由良之助として、宙乗りにも挑戦する。 また、報道陣から来年の抱負を問われると、同い年で幼少期からしのぎを削ってきた尾上菊之助が5、6月の歌舞伎座で8代目尾上菊五郎を襲名することに触れ、「菊之助さんのそばにいたい。生まれた時から一緒なので、できることがあれば何でもしたい。僕も襲名披露の2年間、みなさんに支えてもらったので」。菊之助から直接、電話をもらい言葉を交わしているそうで、襲名披露には「声をかけてもらえれば、いつでも出ます」と力を込めた。
報知新聞社