佐藤弘道さんが公表した「脊髄梗塞」とはどのような病気?…血液を固まりにくくする薬とリハビリで改善を期待
タレントの佐藤弘道さん(55)が、「脊髄梗塞(こうそく)」を発症し、活動を休止すると発表しました。この病気について、東京医科大学病院心臓血管外科教授の福田尚司さんに聞きました。(聞き手・利根川昌紀) 【図解】大動脈解離 血管が裂けて激痛やしびれ…発症しやすい人は?
脊髄動脈が詰まる
――どのような病気ですか。 「脊髄動脈」という脊髄に栄養を送る血管が、何らかの原因によって詰まって起こる病気です。脊髄には、感覚や運動をつかさどる神経が通っています。栄養が行き届かなくなると神経伝達ができなくなります。痛みを伴い、下半身がまひすることもあります。MRI(磁気共鳴画像装置)による検査で診断します。 ――原因は何ですか。 脊髄動脈は、体の中心を通る大動脈から枝分かれしています。大動脈の血管壁が裂ける「急性大動脈解離」を発症した際、脊髄動脈の入り口が詰まることがあります。 そのほか、(1)高血圧である(2)1日何十本もたばこを吸う(3)糖尿病が進行している(4)脂質異常症である――といった場合は、全身の動脈硬化が進行しやすく、脊髄梗塞が起こる可能性があります。ただ、それには長い年月がかかるため、脊髄動脈が詰まるまでには、一般的には周辺に血管のネットワークができあがります。いずれにしても、脊髄梗塞はまれな病気だと思います。 ましてや、55歳とまだ若く、体操のお兄さんがなるということは非常に珍しいのではないでしょうか。
――治療法はありますか。 現時点で有効な治療法はありません。血液を固まりにくくする薬などを服用しながら、リハビリを行うことになります。リハビリをすることで、神経のネットワークが再生され、動けるようになることが期待できます。 ――予防法はありますか。 根本的な予防法はありません。強いて言えば、食生活に気を配るようにするなどし、動脈硬化が進行するリスクを減らすことではないでしょうか。