「夜中にハンバーグが食べたくなった」…『探偵!ナイトスクープ』初代ディレクターが明かす西田敏行2代目局長“誕生秘話”
2代目西田局長の“全肯定スタイル”
こうして2代目西田局長が誕生したのです。 でも、さすがの西田さんでも初回の収録はものすごく緊張されていたように見えました。固い表情が多くて全然笑ってくれず、スタジオの空気も凍り付いたまま。一部の視聴者は「この先大丈夫だろうか」と不安になったかと思います。 ところが、2回目以降の収録は、ガラッと変わって西田節が満載。初代局長の上岡さんが皮肉をきかせて視聴者を笑わせるのに比べ、西田さんはVTRに登場するちょっとおかしな人物たちを「いいね~」「この人すごいねぇ」などと全肯定していくのです。 この姿勢は、探偵たちに対しても同様で、「よくやった!」「あなたのやったことは人間愛に溢れているよ!」と大絶賛していく。西田さんのスタイルは、人情味に溢れていて、すぐに評判になりました。
西田局長の涙
番組を見ていただいている方にはお馴染みなのが、西田局長の涙。毎回西田さんがVTRを見て涙を流すのがお決まりのようになっていきましたが、実は、最初の頃はそんなに泣かなかった。VTRが10本あれば、そのうち泣くのは1本くらい。 ところが、涙を流すことが彼の性分に合っていたのか、そのうちどんどん泣くようになっていった(笑)。別に感動的なVTRじゃなくても涙を流すので、正直「この人は一体どこに反応して泣いてんのかな?」と不思議に思うこともありました。 でも、そのうちツボが分かってきたんです。
西田さんは、人の純粋な気持ちに触れると涙を流すんだな、と。これは西田さん自身がピュアな心を持っているからこそ。西田さんは、“泣きの小金治”といわれた落語家の桂小金治以来の「泣き」人情をお茶の間に届けるスタイルを確立したのです。 西田さんの涙のおかげもあって、ナイトスクープは上岡さんの時代とはひと味違う新しい人気番組に生まれ変わることが出来ました。 番組の最後の方の収録では、病気をされたこともあってスタジオに上がる際はステッキをついていましたが、それでも毎回元気に収録に臨んでくれました。