手塚治虫の世界紹介 17歳のデビュー作も 9月29日まで植野記念美術館/兵庫・丹波市
植野記念美術館(兵庫県丹波市氷上町西中)で「手塚治虫展」が開かれている。手塚(1928―1989)は、マンガ家として生きた43年間に約700タイトルの作品を生み出し、約15万枚ものマンガ原稿を描いた。アニメーションは70作品に及ぶ。その中から約170点の原稿、資料、映像を展示。生い立ちから始まり、作品を通して伝えたかったメッセージなど、手塚治虫の世界を3部構成で紹介している。9月29日まで。 第1部「手塚治虫の誕生」では、兵庫県宝塚市の豊かな自然環境の中で育った子ども時代を紹介。友だちとの昆虫採集での写真、中学校時代に描いた蝶の標本の写生、昆虫好きの友だちと制作した私家本「動物の世界」の表紙絵などがあり、自然との交流ぶりが伝わる。手塚は一方、子ども時代、いじめにあい、いじめっ子を見返してやろうとマンガを描いた。9歳で描き、手塚の最初のマンガ作品と言われ、クラスの仲間に回覧された「ピンピン生ちゃん」(複製)を展示。手塚のトレードマークだった愛用のベレー帽やメガネ、17歳の時にマンガ家としてデビューした作品の4こまマンガ(複製)も展示している。 第2部「作家・手塚治虫」では、学生時代に見たドイツやフランスの映画を手本に迫力ある画面を作り出し、心理描写を取り入れた手塚のマンガの特徴を、さまざまな作品の直筆カラー原稿を通して紹介。63年からテレビ放映された「鉄腕アトム」のオープニング映像も流している。 第3部「手塚治虫のメッセージ」では、「ブラックジャック」「火の鳥」「ジャングル大帝」「どろろ」などの作品の直筆原稿を展示し、それぞれの作品に込めたメッセージを伝えている。丹波市の遠阪峠が登場する「ブラックジャック」の作品の紹介もある。 兵庫県丹波篠山市に住む母親と一緒に京都府城陽市から来館した50歳代の女性は「子どもの頃から手塚さんの作品に親しんできましたが、これまでマンガしか知らなかった。展示を通して手塚さんを深く知ることができ、いっそう興味が湧きました」と話していた。 一般800円、大学・高校生400円、小中学生200円。月曜休館。ただし月曜が祝日の場合は開館し、翌平日が休館。