ドラフト戦線「ビッグ4」のカゲで「清原和博の長男」が急浮上する理由 どの球団もほしがる打者の「タイプ」とは
プロ志望届を出した意味
「動向を巡って注目を集めていた清原ですが、9月12日、プロ志願届を提出しました」(前出・アマチュア野球担当記者) 4年生で来年、就職を希望する“学士選手”たちは、3年生以下の後輩たちに出場機会を譲るケースも多い。プロ志願届の提出は「野球を続けたい」とする意思表示でもあるが、正吾は中学ではバレーボール、高校ではアメリカンフットボールをやっていた。野球は小学生以来となるが、所属していたチームは軟式だった。 「8月末、東京六大学連盟選抜チームと日本ハム二軍が試合をしています。『4番一塁』で出場した正吾は、初ホームランを放ちました」(前出・同) 正吾は今春リーグから慶大の4番を任された。打率2割6分9厘、打点7と結果を残していたが、公式戦では1本もホームランを打ったことがなかったのだ。この試合を視察した中日・八木智哉スカウトは記者団に「清原2世評」を聞かれ、 「インコースを巧く捌きましたね。やってきたことが実力になっていると思います。あのコースは、本当は詰まるんですけど」 と、バッティングを褒めていた。日本ハムの稲葉篤紀二軍監督もレフトフェンスを優に越えていった飛距離と打球の高さに驚き、「あのインコースをあそこまで飛ばすとは」と話していた。野球歴の浅さからプロ入りに悲観的な声が少なくない一方で、こんな意見も聞かれた。 「どこの大学も、卒業する学生を路頭に迷わすようなことはしません。卒業後も野球を続けたいと思う学生は大勢いても、実現の可能性がない学生には、それとなく伝えます。プロ志願届を出したということは、大学がどこかの球団から指名の可能性を打診されていると見るべきでしょう。『プロ野球選手になりたい、続けたい』だけでプロ志願届を出したら、就職活動にも影響してしまいます。一般企業の面接官なら、プロ志願届を出したと知った時点で内定を出しても入社してくれないと判断しますから」(都内私立大学の職員) また、スカウトたちはドラフト候補選手側に「調査書」を渡し、選手が指名リストに入っていることを伝える。だが、指名が支配下なのか、厳しい競争が続く育成選手枠なのかまでは教えられない。実際に複数球団から「調査書」をもらっても“指名漏れ”となる学生も少なくない。宗山のような1位候補や上位指名の候補者はともかく、大方の学生は「指名されないリスク」も考えておかなければならないのだが、 「どの球団も即戦力のピッチャーは欲しいです。でも、今年はとくに大砲タイプのスラッガーを探しているような印象も受けました」(前出・アマチュア野球担当記者) 正吾が指名候補に浮上してきた理由はこのあたりにもある。「大砲タイプ」探しと、僅差でリーグ優勝を争っている巨人と阪神の場外戦が、ネット裏でも繰り広げられていたのだ。