大島優子「どういうふうに感情を動かされるか楽しみにしてほしい」『アンチヒーロー』インタビュー
◆これまでの放送で印象的だったシーンはありますか? 9話の最後に伊達原さんと対面するんです。そのシーンがこの作品に入って一番緊張したところです。私、誰かと対峙して話すというシーンがそんなになくて、最後の最後、9話になって、伊達原さんと面と向かってせりふを交わすシーンが出てきて。だからそれもあって緊張したというのもあるし、それが伊達原さんで、野村萬斎さんだから緊張したというのもあります。でも、その緊張が役としても、そのまま緊張していていい役、緊張していていいシーンだと思ったので、すごくそれが功を奏しているんじゃないかなとは思いながら、その感情を受け入れつつやっていました。 ◆視聴者の皆さんも白木は悪い人なのか、いい人なのかと考察が展開されていくと思いますが、考察のヒントになるものを教えていただきたいです。 今まで私も毎話見ていて、「うわ、緋山…」「伊達原…」と最後の10分ぐらいでそういう思いになって、役名を叫んでいたのですが、ようやく「白木…!」みたいになれるというのがうれしいです。だから、皆さんがどういうふうに感情を動かされるか、9話と10話で展開が変わっていくので、楽しみにしていただきたいです。 ◆考察する上で、これまでのシーンで振り返っておいた方がいいシーンはありますか? 1話から全部振り返った方がいいと思います(笑)。 1話冒頭の明墨先生が接見室にいるシーンから伏線は全部ちりばめられていますし、白木に関しては7話ぐらいから「ちょっとあれ?」みたいなことがあるかなと思います。 ◆この作品の魅力はどこでしょうか? 正義と悪は表裏一体で、どう転ぶか分からないなということを身近に感じました。私も実際の裁判を傍聴しに行ったときに、同じ空間に、同じ人間でも法を犯した人がいて、しかも、裁判は1日中ずっとやっていて、「あれ、こんなに犯罪をした人っているんだ」「これが毎日あるとなると、どれだけ犯罪ってそこら中にあるんだろう」と思って。いつの間にか魔が差して法を犯してしまうことって誰にでもあることなんだなと、“アンチヒーロー”という言葉にすごく納得したんです。アンチなんだけどヒーローにもなれるし、ヒーローだけどアンチにもなり得る。そこが誰にも判断できない難しいラインで「あなたにはなんの正義がありますか」ということを突きつけられていることが、この作品の魅力だなって思いました。