"演技力の高さ"が光った!サルゴリラが王者となった「キングオブコント2023」を振り返る
今年もコント日本一を決めるカーネクストpresents「キングオブコント2024」が10月12日(土)に開催される。 【写真を見る】サルゴリラが王者となった「キングオブコント2023」を振り返る こちらでは、復習の意味も込めて、昨年開催されたカーネクストPresents「キングオブコント2023」決勝戦を振り返ると共に、王者となった当時芸歴20年目の幼なじみコンビ・サルゴリラ(赤羽健壱、児玉智洋)の歴史を紐解く。 2023年大会ファイナリストとなったのは、返り咲きの蛙亭、ジグザグジギー、ラブレターズ、連続出場を決めたニッポンの社長、や団、初出場のカゲヤマ、サルゴリラ、ゼンモンキー、ファイヤーサンダー、隣人と、個性あふれるコント師10組である。 トップバッターのカゲヤマが披露したのは、失態を犯した後輩のために先輩が得意先に謝罪をするコント。そのパワープレイに会場は爆笑の渦となった。ニッポンの社長は、男同士の喧嘩がまさかの展開に。衝撃的なインパクトを残し、4年連続ファイナリストの貫禄を見せつけた。昨年に引き続き決勝に進出したのはや団。演劇の稽古をする座員と、厳しい演出家のやりとりで笑いをかっさらった。 蛙亭は彼氏にフラれて落ち込む女性の前に、突然現れる謎の男。強烈なキャラクターで会場をトリコに。ジグザグジギーは元お笑い芸人だという新市長が市民に挨拶。粛々とマニフェストを発表するが...。当時芸歴4年目でファイナリストになったのはゼンモンキー。ひとりの女性をめぐって喧嘩をしていると、学生がやって来る。 「見たことがない設定」と自身で語っていた隣人は、落語家がチンパンジーに落語を教えるコントを披露。ドラマチックなやりとりで笑いをかっさらう。ファイヤーサンダーは、サッカー日本代表のメンバー発表を見守るスーツの男とユニフォームを着た男。祈るようにテレビを見るも...。そしてラブレターズは、彼女の実家に来た男が、相手方の母と2人っきりに。彼女の母の行動に驚愕する! そんな9組の猛者を倒したのがサルゴリラだ。マジック特番の前に打ち合わせをするディレクターの赤羽とマジシャンのルール(児玉)。ルールが出す小道具がとにかくややこしい! 児玉が演じる不思議なキャラクターに、赤羽が切れ味鋭くツッコミを入れ、笑いが増幅した。 また、ファイナルステージでは、試合に負けて甲子園に行けなかった野球部のキャプテン(赤羽)と、悔しがる彼をなだめる顧問(児玉)のコントを見せた。あるたとえを出してくる顧問に、キャプテンは顔をしかめる。この2つのコントでサルゴリラは過去最高得点964点を叩き出した。 ネタの面白さはもちろん、審査員の山内健司(かまいたち)も「面白すぎる」、「上手い」と絶賛した演技力の高さはサルゴリラの武器のひとつだ。 コント中は、児玉が演じる独特なキャラクターに、審査員も客席もそして視聴者も魅了され、彼の放つボケに"笑うしかない"状況となっていた。ファーストステージでキングオブコントの空間を掌握し、2本目のコントでは「待ってました!」と言いたくなるほど無敵状態に。ハイレベルなパフォーマンスを見せる児玉に会場が爆笑に包まれた。 一方、リアクターとしての赤羽のポテンシャルの高さも見逃せないポイントだ。児玉演じるキャラに、時には翻弄され、時には怒りを露わにする彼の巧みさがなければ、児玉のキャラも生きなかっただろう。赤羽の困惑の表情は笑いを増幅させるトリガーとなった。 こうして歴代最年長王者となったサルゴリラ。思えば、キングオブコント王者は栄光と挫折の先にあった頂だった。赤羽と児玉は、現在放送作家やピン芸人として活動中の松橋周太呂と2006年にジューシーズを結成。吉本興業の劇場「ヨシモト∞ホール」のトップ組に入り、パンサー、ジャングルポケットと共に「333 トリオさん」(テレビ朝日系)のメンバーにも選ばれた。人気芸人の仲間入りを果たしていたものの、2015年末に惜しまれつつ解散。当時、大きなニュースとなった。 その後、2016年1月に赤羽と児玉がコンビを結成。コンビ名の「サルゴリラ」は、公私共に世話になっていた又吉直樹(ピース)が命名したものだ。コンビとなったあとは、なかなかチャンスを掴めず、日の目を見ない日々が続いたが、2023年に初進出したキングオブコント決勝戦で王者となった。 SNSでは、苦楽を共にした向井慧(パンサー)や、太田博久(ジャングルポケット)の感涙シーンが話題に。多くの仲間に愛され、ブレイクを渇望されていた芸歴20年の苦労人が、一夜にしてスターの座をつかんだ瞬間だった。 歴代最年長&過去最高得点と記録ずくめの2023年大会。楽しみな「キングオブコント2024」を前に復習してみてはいかがだろうか? 文=浜瀬将樹
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