羊文学・塩塚モエカ&音楽家・蓮沼執太、銀座メゾンエルメスでライブ。「ジュークボックス」体験も語る
ゆったり楽しめる楽曲をセレクト
イベントの中では塩塚が選んだ楽曲をジュークボックスで流す一幕も。どんな作品をセレクトしたのか? 塩塚:私が選んだのは、MAYA HAWKE(マヤ・ホーク)というシンガーソングライターのアルバム『MOSS』という作品です。女優としても活動されていて、『ストレンジャー・シングス』にも出演しています。フォーキーな雰囲気の作品で、ゆったりと楽しむことができ、最近よく聴いているので、選びました。 レコード屋さんとか、CDショップに行って、試聴機に入っている作品を聴いたりする中で好きな作品に出会うことが多いんですけど、『MOSS』は大阪でよく行っている「FLAKE RECORDS」というショップで発見しました。 一方、蓮沼がセレクトした作品は? 蓮沼:ご存命ではないアーティストですが、吉村弘さんの『GREEN』という作品を選びました。1986年に作られたアルバムです。日本のアンビエントミュージックのパイオニアと知られるような方で、特に寝るときとかに、聴きたくなるようなサウンドです。 塩塚:私もお風呂に入るときに聴いています。 蓮沼:必需品ですよね。お亡くなりになったあと、吉村さんのスタジオにお伺いする機会があって、いろいろ資料を見させていただいたんですけど、未発表の音源もけっこうあって、すごくいい時間を過ごすことができました。
「優しい灯り・光」に、ふたりが思うこと
銀座メゾンエルメスは、2024年を通して「ランタンエルメス」というプロジェクトを展開していく。ランタンのような優しい灯り・光についての印象は? 蓮沼:僕はわりと明るいものよりも、暗いものが好きなんです。谷崎潤一郎が好きな影響か、ピカピカな世界というよりかは、少し薄暗い世界の方が良く見えるというか。要はそういう雰囲気が好きなんですね。真っ白な世界というより、薄暗い世界が好き。そういった世界観は作り出す作品に、どこか共通しているかもしれません。 塩塚:私はけっこう、歌詞に「光」とか入っています。光のイメージは、中心から周りに向かって、パワーを広げていくようなもの。銀座メゾンエルメスも昼間は周りの方が明るいけれど、夜になると「発光しているように見える」と聞きました。まさにこのビル自体が、ランタンとなって、銀座という街を照らしているんだなと。素敵だなと感じました。 そんな銀座メゾンエルメスにて、塩塚と蓮沼はライブもおこなった。 蓮沼:地下一階のスペースでライブをしたんですが、そのフロアの床面積の半分以上に楽器が置かれていました。そんな光景は今まで、誰も見たことがないと思うので、それだけでも必見かと思います。一生懸命、演奏しました。 塩塚:今日はビル中、音楽で埋め尽くされていたので、私も頑張って歌いました。聴いてくれるとうれしいです。 二人のセッションの様子をおさめた動画は「ランタンエルメス」特設サイトに掲載されている。 また、蓮沼は、エルメスによるドキュメンタリームービー『HUMAN ODYSSEY それは、創造を巡る旅。』の7つのエピソードの音楽を制作している。 蓮沼:映像を観ながら作った作品もあるし、真摯にものづくりと向かい合うクリエイターを追ったドキュメンタリー映像だったので、その方々の作品を見させてもらいながら作りました。僕も音楽家なので、音楽の作り手のひとりとして、堂々と参加したいという思いで携わりました。 J-WAVEが手がけるエルメスの番組『LA LANTERNE D'HERMÈS』は、毎週土曜と日曜の16:58、17:58にオンエア。また、「ランタンエルメス」特設サイトでは、そのほかのコンテンツも展開中だ。3月は「JUMPING」をテーマにお届けしている。 (構成=中山洋平)