現役31歳ピアニストがニュースポーツの日本代表に→W杯優勝 「チャンスがあるなら」と2年前に始め「全試合全力」
滝沢克明さん(31)=長野市出身・東京都
「これから何かの日本代表になりたい人にお薦め」。友人からSNS(交流サイト)で届いたそんな体験会のお知らせがきっかけだった。オランダ発祥のニュースポーツ「YOU.FO(ユーフォー)」を2年前に始め、本当に日本代表になった。昨年6月にはワールドカップ(W杯)に初出場して、優勝まで勝ち取った。 【写真】ユーフォーで使うスティックと、直径20㎝ほどの赤いリング
競技人口は世界で1万5千人
W杯は1チーム3人で対戦。専用のスティックを使って直径20センチ余の赤いリングをパスでつなぎ、得点エリア内でキャッチすれば1点が入る。競技人口は世界で1万5千人ほど。「持久力や瞬発力、空間認知能力に判断力、いろいろな要素が詰まっているのが面白い」という。日本代表やW杯優勝の経験は「人生を楽しく生きるための大事なモチベーション」になっている。
出身地の長野市の中学校や屋代高校(千曲市)ではバレーボールに打ち込んだ。全国の舞台に憧れたが、結果は遠く及ばなかった。東京の大学のスポーツ科学科に進んでからも競技を続けようとしたが、推薦で入学した仲間は高校卒業前から大学の練習に参加していた。実力や覚悟の違いを痛感した。
一方で当時出合ったのがピアノだった。大学と並行して通っていた英会話教室にグランドピアノがあり「演奏してみたい」と思ったが、楽譜は読めない。有名曲を演奏する人の手元を映した動画投稿サイトの映像をこま送りで再生し、数カ月かけて1曲を覚えた。「無理だと思っていたことに挑戦できた」。オリジナル曲も作るようになった。
ピアニストとしてコンサートを開いたり、イベントで演奏したり
大学在学中に1年間、米国に留学した。夏休みにはプロの音楽家が演奏する飲食店に通い、その場で指導を依頼。ブルースやポップスなどを習った。「音楽をちゃんとやりたい」と卒業後は米国やオーストラリアに渡り、飲食店や路上で演奏して腕を磨いた。帰国後、都内を拠点にピアニストとしてコンサートを開いたり、イベントで演奏したりしている。
日本代表になりたい人に―とのうたい文句に…
そんな時にニュースポーツ体験会のお知らせが流れてきた。日本代表になりたい人に―とのうたい文句に「そんなことないだろう」と思いつつ、「目の前にチャンスがあるならやってみたい」と足を運んだ。会場ではバスケットボールに似た「コーフボール」などを体験。後日、日本に紹介されて間もないユーフォーの練習に参加した。競技人口が少なく「一番、日本代表に近そう」と考えたからだ。