【映画 パリピ孔明】96猫が明かしたキャラクターに寄り添うこだわりの「歌唱術」
繊細な歌い分けを駆使して表現したキャラクターの魅力
――心境の変化が如実に見られた楽曲として「DREAMER」と、そのデモとして制作された「六本木うどん屋(仮)」もありました。 96猫 この2曲の歌い分けにはかなり気を遣いました。特に「六本木うどん屋(仮)」は難しかったですね。この曲は英子の強い想いが詰まっているものの、曲として完成されてはいない。にも関わらず、聴いた孔明の心を打つんですよ。その全てを実現するバランスにはとても悩まされました。 ――すると「DREAMER」の方が歌いやすかったのでは。 96猫 「DREAMER」は素直に、全力で歌えばよかったので「六本木うどん屋(仮)」よりも気楽で、収録も気持ちよくできました。ただ、決して簡単ではありませんでしたね。七海に対する強い想いが乗った歌でしたから、すごく気合を入れて収録に臨みました。 ――物語終盤ではAZALEAの楽曲である「UNDER WORLD」も歌われています。この曲はどのように歌ったのでしょうか? 96猫 あのシーンで英子は、七海に対し「自分のことを見つめてほしい」と思っているはずなので、“英子から見た七海” を表現するように努めました。 英子になりきってAZALEAのインプットをして、それをアウトプットするように歌いましたが、これも難しかった……。 ――完成したアニメのライブシーンを観ての感想は。 96猫 すごく不思議な気持ちになりました。歌声は私のものなのに、画面の向こうには確かに英子ちゃんが存在していて歌を披露している。これまでに味わったことのない感覚があり、新鮮な気持ちになりました。 ■ANIMAX MUSIXでは英子が降りてくる感じがした ――その後96猫さんは「EIKO starring 96猫 & 久遠七海 starring Lezel from パリピ孔明」としてANIMAX MUSIXにも出演しています。 96猫 ありがたかったですね。ただ、あの日のパフォーマンスについてはかなり悩まされました。 月見英子と96猫、どちらとしてステージに立つべきなのか……おそらくオーディエンスの多くは英子ちゃんの歌を聴きにきていると思ったんですが、そこに確証が持てないまま本番を迎えてしまったんですよ。なので、歌い始めた時は英子と96猫の間でフワフワしながらのパフォーマンスになっていました。 ――そこからどのように立ち直っていったのでしょうか。 96猫 きっかけは歌っている途中、イヤモニターを外した時、皆さんからの生の歓声が聴こえてきた時でした。 その熱量を直に感じることができた瞬間、自分の中に英子が降りてきた感じがして、そこからは自然と英子になりきって歌えたように思います。 ――七海の歌唱を担当したLezelさんとの共演はいかがでしたか? 96猫 彼女からはすごい熱量を感じました。ライブの演出上、お互いの姿は見えていなかったのですが、すぐ側にいるような感覚で歌うことができました。出番が終わった後、ふたり共汗だくだったのを覚えています(笑)。 ――英子と七海、共にステージの立つ姿は作中では見られない光景で貴重な機会となりましたね。 96猫 本当だ!! それ、すごい胸熱じゃないですか! 私も客席で観たかったな……(苦笑)。 ――これだけの歩みを経ての劇場版公開となりました。改めて、楽しみにしている方にメッセージをお願いします。 96猫 『パリピ孔明』は音楽を主題に、英子ちゃんの成長と周囲との絆を描いた作品となっています。観ていると元気と勇気を貰える作品になっているので、劇場で楽しんでいただけたら嬉しく思います。よろしくお願いします。 (C) 四葉夕ト・小川亮・講談社/「パリピ孔明 Road to Summer Sonia」製作委員会
一野 大悟