初来日した“コアラフィーバー”から40年…繁殖成功までの苦闘の日々 故郷・豪州では「絶滅の危機」
■天候や災害でも供給続けられるように…コアラの命支える「ユーカリ」
コアラには餌となるユーカリが欠かせない。必要なユーカリの大部分は東山動植物園の近くにある、平和公園で栽培している。 平和公園には、およそ4ヘクタールの敷地に1万本のユーカリが植えられている。 コアラの好みや体調に合わせられるよう27種類のユーカリが育てられ、東山動植物園のコアラが一番好きな品種は「プンクタータ」だという。 コアラは水をほとんど飲まず、ユーカリから水分をとる。瑞々しく、柔らかい新芽を好むため一年中、新芽を供給できるように5月から12月は露地で、12月から5月はハウスで育てたものを与えている。 平和公園の他にも、静岡、沖縄、鹿児島でもユーカリを栽培し、天候や災害のリスクに備えている。 ユーカリ栽培の担当者: ユーカリってすごく柔らかい木なんですね。成長が早いので、台風とか雪で結構被害が出たりするんです。平和公園だけだと、どうしてもコアラのエサを確保できない、そういう状況にならないように、もし名古屋に何かあった時は静岡の割合を増やすというふうに、毎日コアラにエサを欠かさないようにしています。
■伐採に森林火災…ふるさとでは「絶滅の危機」
10月25日には新たにオーストラリアのタロンガ動物園からやってきたオスのコアラ「スカイ」の一般公開が始まった。 しかし、ふるさとのオーストラリアではコアラが「絶滅の危機」に瀕している。かつて数百万頭いたとされるコアラは毛皮を目的とした狩猟や、開発による伐採、感染症などが原因で減少を続けた。 2019年から2020年にかけて大規模な森林火災が発生して、多くのコアラが犠牲となり、現在は30万頭以下ともいわれている。 コアラなどのオーストラリアの動物を救うため、2020年2月には東山動植物園でも募金活動を行った。 2022年、コアラはオーストラリアで絶滅危惧種に指定された。日本でも年に一度開かれる「コアラ会議」で、全国の飼育担当者が情報交換をしたり、国内だけで繁殖できるよう動物園の間でコアラをレンタルするなどの取り組みを進めている。 東山動物園の細江航園長: コアラは東山を象徴する人気動物です。さらにはシドニー・タロンガ動物園との友好の証の象徴ではないかなと思っていますので、飼育や繁殖などを通じて、コアラ飼育のけん引役としての役割をしっかり我々は果たしていかないといけないと思っています。
■“絶滅危惧種”コアラを守れ! 日本でも支援
日本でもコアラの保護活動への支援が呼びかけられている。ロッテの「コアラのマーチ」は1984年3月に発売され、コアラと同じく40周年を迎えた。 ロッテは1994年から支援を続けていて、コアラのマーチのパッケージには「オーストラリア コアラ基金」のマークが描かれている。 「オーストラリア コアラ基金」は絶滅の危機に瀕するコアラの保護や研究に取り組んでいるNGO団体で、日本でも里親を募集するなど、支援を呼び掛けている。 2024年10月21日放送 (東海テレビ)
東海テレビ