特産茶で「ロウリュ」、香りも楽しむサウナ…「飲むのとは違った楽しみ方を」
全国的なサウナブームの中、地元特産のお茶を使ったサウナを体験できる施設が増えている。熱した石(サウナストーン)にお茶をかけて蒸気を発生させ、香りも楽しむユニークな活用法で、交流人口の増加やお茶の消費拡大への効果も期待されている。福岡県八女市には八女茶を使った施設が登場し、関係者は「飲む八女茶とは違った楽しみ方を提案していきたい」と意気込んでいる。(香月大輝)
6月中旬、同市上陽町にある貸し切りのサウナ施設「チャウナ」で、女性客らがテントサウナを満喫していた。近年、サウナの本場・フィンランド式の入浴法として、サウナストーンに水をかけて蒸気を出す「ロウリュ」と呼ばれるスタイルが人気だが、この施設では水の代わりに八女茶のほうじ茶を使う。福岡市から訪れた会社員の女性(32)がお茶を注ぐと、熱波とともに香ばしい匂いが広がり、「香りが良く、通常のサウナよりリラックスできる」と笑顔を見せた。
チャウナは昨年4月、飲食店などを経営する「ファーストグループ」(福岡県久留米市)が開設。テント内で汗をかきながら、八女茶や日替わりのアロマオイルの香りを楽しむ。八女茶には美肌や消臭の効果があるという。
社長の泊裕太さん(29)は以前、同県広川町で飲食店を経営していた時に、八女地域の農産物や自然の豊かさに魅力を感じた。「自分が好きなサウナと特産物を組み合わせ、地域活性化につなげられないか」と考え、八女茶を活用したサウナを始めた。使用する茶葉は同町の製茶会社から購入している。
利用客の多くは福岡都市圏からで、特に夏場は1か月に400人以上が訪れることも。泊さんは「八女茶のサウナをきっかけに、市外の人と八女をつなぐ架け橋になれたらうれしい」と意欲を示す。
サウナー取り込み
既存の観光施設でも、「サウナー」と呼ばれる愛好家を取り込もうと、特産のお茶を活用したサウナを導入する動きが進む。
山口市徳地野谷のキャンプ場「ふれあいパーク大原湖」では、地元の企業組合が製茶したカワラケツメイ茶のほか、クロモジ、ローズマリーなどを使うテントサウナを始めた。キャンプ場の河村政枝さん(54)は「ここにしかないオリジナルのロウリュで、地域の魅力も感じてもらえたらうれしい」と語る。