記者が体験した「韓国海軍特殊部隊SSU」の極限訓練…「彼らがいるから韓国の海は守られている」
【12月02日 KOREA WAVE】韓国慶尚南道鎮海の海軍基地で11月12日実施された海軍特殊部隊「海難救助戦隊(SSU)」。訓練現場に記者が密着し、その厳しい訓練を体験した。SSUは「海の119」と呼ばれ、海上での人命救助、沈没船の引き揚げ、遭難した船舶や潜水艦の救助など、国家的災害現場で重要な任務を担う部隊だ。 SSUは1950年9月、海上工作隊として創設され、1954年には海難救助隊として再編成。その後、2018年9月には特種戦戦団の下部部隊として海難救助戦隊に再編成された。現在、約300人の精鋭部隊員が所属し、その採用過程では応募者の半数以上が訓練中に脱落するという。 これまでSSUは、2002年の第2延坪海戦での沈没哨戒艇「357号」の引き揚げや、2010年の「天安艦」沈没事件、2014年のセウォル号沈没事故、2019年のハンガリー遊覧船沈没事故など、数々の災害現場で活動してきた。昨年には北朝鮮の宇宙発射体「千里馬-1号」の残骸回収作業にも従事している。 記者が挑戦したのは、次のSSU主要訓練だ。 ▽特殊体操 極限状態に耐え得る体力と精神力を養うための訓練。100回のジャンピングジャックから始まる。隊員のペースについていくことすら困難だった。 ▽スキューバ訓練 30kgの潜水装備を着用し、水中作業や捜索技術を鍛える。マスクに水が入るトラブルを想定した訓練も実施された。装備の重さや「水中の恐怖」は想像以上だった。 ▽航空救助訓練(ファストロープ降下) ヘリコプターから海面に降下し、溺者を救助する訓練。10mの高さからの降下は一般人には恐怖以外の何物でもない。ただSSU隊員にとっては基礎訓練の一環に過ぎない。 ▽深海表面供給潜水システム(SSDS)訓練 30kgの潜水ヘルメットを着用し、実際の海中で実施される訓練。水深が深まるほどに圧力が高まり、体全体が痛みを感じる。 ▽SSUの圧倒的な能力 SSUの隊員は、ヘリウムと酸素を混合したガスを使用することで、91mまでの深海潜水が可能だ。また、深海救助潜水艇(DSRV)を使えば水深500mの潜水艦の引き揚げができる。さらに、水中無人探査機(ROV)を駆使すれば最大3000mの海底まで捜索が可能だ。 ◇限界は自分自身に 現場で出会ったSSU隊員たちは、「限界は自分自身にしかない」と語り、自分との戦いに勝ち抜いた者だけがこの部隊に残ると話す。 ファン・ジェジン大尉は「必要なのは『やりたい』という意志だけ。必要なスキルは訓練で身につけられる。意志さえあれば誰にでも挑戦できる」と語った。 国防省の統計によると、過去30年間で北朝鮮の南侵挑発は619件に上り、そのうち海上挑発が80.1%を占めるという。しかし、韓国の海軍戦力(4万1000人、140隻)は中国や日本のみならず北朝鮮とも比べて劣勢にある。3方を海に囲まれる韓国において、海軍力の増強は国家安全保障の重要な課題といえる。 SSU隊員たちの厳しい訓練を目の当たりにし、記者はこう感じた。「彼らがいるからこそ、韓国の海が守られている」 (c)KOREA WAVE/AFPBB News
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