5月なのに真夏日...異常気象、四季が「消える」
初の線状降水帯発生
気温の上昇以外にも、近年は気象の変化が顕著になっている。1961年以降の平均年降水量を20年ごとに区切った場合、福島では61~80年の1065ミリから2001~20年の1207ミリに増加。白河や小名浜、会津若松では60~134ミリ増えた。「ゲリラ豪雨」と呼ばれる大雨が降ることもあり、昨年は県内で初めて線状降水帯が発生した。対照的に、降雪量は1980年代を境に減少傾向にある。 変わる季節感、続く「異常」な気象。気候変動による四季の変化は、私たちの生活や価値観を大きく変えつつある。
異常気象「通常」に...学生危機感
日々の生活で感じる現象は、社会や日常生活に影響を与えることにもなる。異常気象が毎年のように続き、「通常」になりつつある中、未来を担う若い世代も気候変動と向き合っている。
通用しない「慣例」
「四季というけど、夏と冬の二季に偏ってきているのではないか」。福島大に通う神楽優(ゆう)(21)=共生システム理工学類3年=は、そう感じている。過ごしやすいはずの4月に、気温が25度以上の夏日になり、秋口に冬用の上着が必要になる。「気温の振り幅が極端になっているように思う」 気温の上昇は体調に異変をきたす。中学生の頃、サッカー部の活動中に頭痛や吐き気、目まいを感じた。症状は改善せず、病院で点滴を受けることに。「熱中症だったと思う」。高校に進学後も同じような症状がたびたびみられた。現在は周囲に水分補給などを呼びかけている。 「雪の降り始める時期が遅くなり、降雪量も少なくなっていると思う」。小島彩也乃(あやの)(20)=同3年=は指摘する。昨年はラクロスの部活動で12月に雪が降ることを想定して練習メニューを組んだが、降り始めが1カ月ほど遅れた。「今まで通りのスケジュールと合わず、練習に支障が出る」と小島。これまでの「慣例」が通用しなくなっていることに戸惑う。 玉城陸(りく)(20)=同3年=は高校まで沖縄県で暮らしていた。台風被害で自宅前の道路が毎年のように水であふれ、通れなくなったという。停電でガスが使えなくなり、水のシャワーを浴びたことも。「これ以上、被害が大きくなると困る」。台風の状況を天気予報で確認するようにしている。