ソニーがKADOKAWAを買収したい理由は、コンテンツという“金脈”にあり?KADOKAWAの儲けのしくみを徹底解説!
ソニーグループが、出版大手・KADOKAWAの買収に向け協議に入ったと報じられました。背景には、KADOKAWAが有するコンテンツを取り込み、エンターテインメント事業を強化する狙いがあるとみられています。 実はいま、同社がもっとも高い利益率を誇るのは、出版事業ではありません。いったい、どのように稼いでいるのでしょうか。佐伯良隆著『100分でわかる! 決算書「分析」超入門 2025』より一部抜粋・編集してお届けします。 【画像】KADOKAWAの利益構造をグラフで見ると、圧倒的に「ある事業」が稼いでいることがわかる
■自社のメディアをフル活用! ライセンスで稼ぐ戦略 1945年に国文学者の角川源義が創業した角川書店(現・KADOKAWA)。本業の出版事業に加え、1975年に映画事業、1983年にアニメ事業に参入し、現在はライトノベル、ゲーム、Webサービス、教育など、若年層を対象とした有力コンテンツを多数発信しています。 損益計算書をみてみましょう。 当期(24年3月期)の売上は2581億円で、前期から1.0%の微増。一方で、営業利益は前期から28.8%減少して185億円、営業利益率も3.1ポイント低下しています。費用をみると、前期から原価率が2.0ポイント上昇、販管費率が1.0ポイント上昇しており、利益を圧迫しているとわかります。
これについて同社の決算説明資料では、「出版・IP創出における原価高、人材投資、ゲームにおける減収影響」などを理由として挙げています。詳細を知るために、セグメント別の業績を調べてみましょう(→下グラフ)。 グラフの通り、同社の主力事業は「出版・IP創出」で、当期は全体の売上の約半分、営業利益の56%を占めています。IPとは、「知的財産(Intellectual Property)」で、要は創作物のこと。同社は、毎年5500タイトル以上のIPを創出し、これを事業間連携(メディアミックス展開)することで、有力IPの収益最大化戦略を取っています。