世界陸連、パリ五輪金メダリストに賞金760万円 128年続いたタブー破る
世界陸連(WA)は10日、今夏のパリ五輪で金メダル受賞者に5万ドル(約760万円)の賞金を贈ると発表した。国際競技団体としては128年で初の試みとなる。近代五輪はアマチュア選手の大会として始まったため、国際オリンピック委員会(IOC)は賞金の授与は行っておらず、世界陸連の決定は大きな転換点となる。 世界陸連のコー会長は、一部のメダリストたちが母国の政府や競技団体、スポンサーから報奨金を受け取っているとの認識を示したうえで、次のように述べた。 世界陸連 セバスチャン・コー会長 「それに加わる、ささやかな貢献だ。私は選手たちに、ここで完全に孤立しているわけではないことを認識してほしいと思っている。私は選手たちのパフォーマンスとスポーツの成長との関連性を理解している。スポーツが成長するにつれて、彼らもまたその恩恵にあずかるということを知ってほしい」 総額240万ドルの賞金について、発表前にIOCに通知したものの、事前協議などは行わなかったという。 「五輪のムーブメントが成長するにつれ、その恩恵にあずかるのはスポーツであり、最終的には選手だ。だからこの賞金は、IOCが掲げる理念や哲学にしっかりと沿ったものだと思う」(コー会長) IOCは、収益の90%を競技団体に再分配しているとしており、どのようにアスリートと発展に貢献するかは、各国際競技団体と各国のオリンピック委員会の裁量に委ねられている。 五輪のアマチュア精神は、1988年のソウル大会から特定の競技でプロ選手の出場が認められたことで失われた。世界陸連の発表について400メートル障害の金メダリスト、カールステン・ワーホルム選手は、前向きな一歩だと語った。 東京五輪金メダリスト ワーホルム選手 「プロスポーツとして陸上競技がますます進んでいくことは良いことだと思う。彼らに敬意を表したい。私にとってはお金のためにやっているわけではないので、五輪で勝つということへのモチベーションが変わることはない」 陸上競技は、出場者数、テレビ視聴者数ともに五輪最大の競技だが、多くのメダリストを含む大多数の選手は、常に資金難に直面している。銀メダルと銅メダルの選手にも賞金が授与する予定だが、2028年のロサンゼルス大会以降になるという。