ジュリア・ホルター、最新アルバムよりシングル「Spinning」を先行配信&MV公開
米ロサンゼルスを拠点に活動する音響派シンガー・ソングライター、ジュリア・ホルター(Julia Holter)が、3月22日(金)に6枚目のアルバム『Something in the Room She Moves』を「ドミノ」からリリースすることを発表。アルバムから最新シングル「Spinning」がリリース、ミュージック・ビデオも公開されました。 これまでの作品では「記憶の奥底」や「ふわふわとした夢のような未来」といったテーマが基となっていましたが、本アルバムでは対照的に、彼女の「現在」に着目した世界観を表現。ホルターは本作について「わたしたちの身体の複雑さと変容性からインスパイアを受け、それをフォーカスすることにした」とコメント。滑らかなヴォーカル・メロディと対置するフレットレス・エレクトリック・ベースのピッチの連続体、あたたかな管楽器と弦楽器の音色に絡みつくヤマハCS-60など、曲中のリッチなハーモニーについては「絶えず流れる続ける水のような音を使って、体の内部の音の世界を呼び起こすような世界を創造したかった」とも語っています。 近年、愛する人(このアルバムが捧げられた幼い甥を含む)の死と娘の誕生という劇的な変化の中で、人とのつながりに焦点を当てるようになったジュリア・ホルター。この経験を背景に、アルバムではことの複雑さ、重大さ、畏敬の念を鮮やかに表現しています。さらに、ジャケットの表紙は、彼女の幼馴染であるアーティストのクリスティーナ・クオールズが手掛け、作品により一層深みを持たせています。 また、昨年11月に発表されたシングル「Sun Girl」と、今回リリースされた最新シングル「Spinning」は、アルバムに収録。このトラックは同アルバムの核となるもので、フランスのフェミニスト、エレーヌ・シクスのエッセイ『Writing Blind』から着想を得ており、「何かを作っているパッションに溢れた状態、そしてその瞬間にいることと、その瞬間とは何なのか」について歌っています。あわせて、公開されたMVは、Giraffe Studiosがディレクションを手掛けています。 アルバム・タイトル『Something in the Room She Moves』は、ホルターがアルバムのタイトル・トラックとなる曲の初期デモの作業用ファイルに最初につけたもの。ですが、偶然にもその数ヵ月後、彼女は8時間に及ぶビートルズのドキュメンタリー映画『ザ・ビートルズ: Get Back』に魅了されることになります。彼女のアルバム・タイトルのフレーズは、ビートルズ「サムシング」の歌詞「Something in the way she moves...」の視点を反転させており、女性はもはや受動的に観察されるのではなく、能動的に世界を拡張していく存在であることを示唆しています。 2012年のブレイクスルー作『Ekstasis』から『Loud City Song』『Have You in My Wilderness』まで、一連のドリーム・ポップ作品を発表した後、ホルターは2018年に広大でスリリングな実験的作品『Aviary』をリリース。それ以来、彼女は『17歳の瞳に映る世界』などの映画音楽を手がけ、オペラ・ノースの合唱団と『ジョーン・オブ・アークの受難』のライヴスコアを演奏。またパートナーであるミュージシャンのタシ・ワダともコラボレートも続けており、今回の彼女の新作ではシンセとバグパイプで参加しました。 Photo by Camille Blake